趣味は「読書」ですから

毎日、本が読めて、美味しいお酒が飲めて、走って、そして楽しい仕事が出来る。それが一番。何事もなく、今日も読書が出来ることに、本当に感謝です。

桐野夏生

殺伐とした不思議

「夜また夜の深い夜」(157/144) 不思議な物語でした 海外を転々とする母と娘 娘に国籍はない 母の本当の名前も知らない そんな娘が ナポリで母から逃げて 犯罪に手を染めながら 行き伸びていく そして 最後に母と自分の真実を知る 小説は その娘が 難民キャ…

このお母さん、最高

「だから荒野」(23/144) 簡単に言ってしまえば 壊れた家族の物語 自分の誕生日を旦那と長男に「侮辱」された母が 車で突然家出する話です ドラマ化されていたとは知りませんでした 両親と長男、次男の四人家族 まあ、全員、平凡だし それぞれ悪い部分を持っ…

嘘みたいな、ホントみたいな、でもウソみたいな

「ハピネス」(109/144) この作品が あの(ちなみに、この『あの』は小馬鹿にしている雰囲気でお読みください) 雑誌「VERY」に連載されていたとは… ホント!? やっぱ 桐野、かっこいいね ざくざく抉る姿勢は美しいです そして その担当編集者も かなり、か…

乾いている2014年

「緑の毒」(14/144) 連続レイプ犯の話 なのに 何か不思議な空気が流れている 様々な社会の問題や事象が 濃密ではなく ライトに絡み合っている感じ きっかけがあれば、あっという間に解けそうなパズル でも 解けないよ、これ 今の日本の状況に似ているかも 桐…

正直、この気持ちに共感するのは難しいです

「ポリティコン・上」(77/144) 「ポリティコン・下」(78/144) 桐野が抉り出す 人間の汚い部分を読んで 読者は何を思うのだろうかと 改めて不思議に思ってしまった とりあえず僕は何を思ったのか? う〜む 何だろう…… 分かりました 作品の中に浮かび上がる 理…

これが、日本、なんだな

「優しいおとな」(24/144) 桐野が提示する近未来の日本 洒落にならない これ、SFじゃないでしょ ただのドキュメンタリーでしょ ホームレスに占領 いや、ちょっと違うな ホームレスが町に溶け込んでいる 別に犯罪に溢れているわけでもなく それぞれの立場で …

妄想力、想像力、生命力

「ナニカアル」(45/144) まさか、あの、 森みつ子でお馴染みの あの、「放浪記」の原作者の 林芙美子の物語とは それも第二次世界大戦下の これは、林自身が書いたものではないのに もう、これは、林のもの 妄想が現実に同化し、この世界を侵食していく その…

不思議な桐野

「IN」(119/144) 不思議な作品だ こんな嫌な恋愛を したくなる気持ちが とっても理解できる気がする 完全に桐野に騙されているのか?? そうじゃないだろう 作家の話だ 女性作家、鈴木タマキは 自分の「W不倫」に対する気持ちの整理をするために 作品を書こ…

神の話、女の話

「女神記」(76/144) 日本の神話と琉球の今も生きる伝説のハイブリッド小説。 物事は全て表と裏で成立する。 生があるから死がある。 死が無ければ生なんて概念はありえない。 そして、男と女。 古事記を読んでいるようで、そうじゃない。 不思議な作品。 桐…

人の「醜い部分」のことを個性と呼ぶのか

「玉蘭」(104/144) 上海に突然留学した女。 逃げた女。 仕事から、 男から、 家族から、 そして日本から。 その女、有子が父から与えられた大伯父の旅行記。 20世紀初頭、彼、質も上海、広東、中国に逃げた。 そこで年上の「性悪」女、浪子に捕まる。 いや、…

日本は朽ち果てる。男は腐りきる。未来は今の延長でしかない。

「メタボラ・上」(18/144) 「メタボラ・下」(19/144) 宇野常寛の解説が素晴らしすぎる。 これだけ桐野夏生の作品をシャープに説明してくれるとは。 解説に、これほど打たれたのは、はじめてかも。 もちろん、宇野の解説が冴えるのは、 桐野の作品が素晴らし…

超絶リアル

「東京島」(89/122) 予備知識ゼロ、で読み始めました。 え、 無人島にたどり着いた? 現代版、ロビンソン・クルーソーなの?! その島には女性たった一人、男性30人ほど。 その設定、、、で繰り広げられる物語、思い浮かべてください。 そんな、あなたの、稚…

聖夜に、絶句

「残虐記」(26/122) いや、 凄いよ。 桐野夏生って、 なんだ。 残虐って、何? クリスマスを、 楽しく過ごすことを強制されている人たちの本当の気持ちを、 感じることが出来ない人たちは、 残虐なのでしょうか? これ、 文庫で250頁弱だけど、 読むの、 す…

邪悪な自分

「I'm sorry,mama.」(109/122) 心も、体も、頭も、体も、 本当にムカムカと、気分、落ちる。 もう、このムカつく感じ。 桐野夏生の思う壷か。 なんて酷い女、なんだ。 このアイ子って奴は。 平気で嘘をつく、人を殺す。 全ての選択肢、「悪い」方向を確実に…

狂気を哀しいと言ってしまって、良いのか?

「グロテスク・下」(84/122) 上巻の悪意が更に加速する下巻。 主人公「わたし」含め、4人の女性の狂気が昇華していきます。 もう異常で、醜く、苦しい世界。 でもでも、読後感が、思ったより悪くない。 確かに屈折した酷い彼女達の生き様だけど、 それを哀…

彼女の狂気は、この世の正気

「グロテスク・上」(83/122) なんてソリッドな。 なんて無駄のない。 なんて明快で厚い文章なんでしょうか。 もう、文字を追うだけで、嬉しくて、楽しくて。 桐野夏生の仕事、本当に素敵です。 主人公の狂気。 自分とは違うサイドに位置する彼女は狂気を孕…

17歳のリアルって??

「リアルワールド」(87/108) ホリニンナ ユウザン キラリン テラウチ + ミミズ僕はやっぱり、ホリニンナ派です。 イメージ的には、蒼井優ちゃん、かなあ。 で、高校生のあり得ないけど、ちょっとリアル風なお話し。 インチキっぽいところが良いね。 真剣に…

堕ちていくヒトの妖艶な姿よ

「ダーク/上」(85/108) 「ダーク/下」(86/108) なんて凄惨で非情で不幸な物語なのか! ヒトは堕ちる。 簡単に転げ堕ちる。 どこまでも堕ちる。 桐野夏生の高らかで冷酷な笑い声が、 ページの裏側から聞こえてくる。 さ、どう、この不幸な人たちを目の当た…

救われるなんて、甘い甘い。

「柔らかな頬・下」(45/108) 桐野夏生って「ひどい人」だね。 こーんな救われない小説書くなんて。でも、これ、最高です。 圧倒的に優れてます。 ここまで「ひどい」と、その先に見えてくるものがあるんですね。 悲しさの先にある優しさ。 死の向こう側にあ…

薄幸な女を書かせたら

「柔らかな頬・上」(44/108) 桐野夏生、冴えてます。 不幸じゃない。薄幸なんです。 ゼロじゃない。薄い・・・ちょっとだけある幸せが。 あー、悲しみが透けて見える。 カスミが無理すればするほど、幸せが薄くなる。 ペラペラに。 でも、 これ、女性が読む…

桐生夏生、薄いけど、深いかも

「冒険の国」(9/108) 「BRAIN VALLEY」の感想を考える間も無く、一冊、読んでしまいました。 桐生夏生の処女作修正版なんですね。「OUT」を書いた人!!!って実感。 あー、「グロテスク」文庫化待てませんねえ。で、本作。 時代はTDLが出来た頃。 あー、高…