趣味は「読書」ですから

毎日、本が読めて、美味しいお酒が飲めて、走って、そして楽しい仕事が出来る。それが一番。何事もなく、今日も読書が出来ることに、本当に感謝です。

道尾秀介

きた、ミステリ、王道、でも

「貘の檻」(39/144) 道尾、久しぶりの直球ミステリ でも 道尾クオリティですから ただのミステリじゃありません ミステリのメインのラインが解きほぐされていくのと並行して 主人公の心の奥の澱みも明らかになっていく 「暗い」だけでは言い表せない 「闇」…

迷う、読者、死を、弄ぶ

「鏡の花」(10/144) 久しぶりに酔いしれました 間違いない 道尾クオリティ パラレルワールドに迷い込んだ読者は この迷宮から 抜け出すことが出来るのでしょうか? 6つの作品 最初の作品から次の作品に進んで おやっ、と思う あれ、生きてる どうやら、死ん…

優しい道尾

「笑うハーレキン」(70/144) 久しぶりの道尾 想像以上に優しい物語 とはいえ 道尾クオリティですから要注意ですけどね ホームレスの家具職人は元社長、東口 今はトラック一つで 河辺の仲間たちと共同生活をしてるが いつも疫病神が… 東口の転落のキカッケは …

やさしい道尾

「光」(157/144) 小学生5人 主人公はおとなしめな子供 お調子者と、その姉さんの二人姉弟 金持ちのチョット嫌味な奴 お祖母ちゃんと暮らす貧しい子 この五人が 道尾らしからぬ(笑)元気な普通の子供として 活躍しちゃうのです 物語全体には しっかりとトリ…

やさしい道尾

「ノエル」(74/144) 童話作家のお話し とはいえ、決して優しい話ではない 生きていく上での「非情」から逃げてはいない 中学、高校時代の恋愛 子供の周囲に対する嫉妬と絶望 年老いた男の悲しみ どれも、美談になりがちなエピソードだけど 道尾は、そんなこ…

ど真ん中ミステリも読みたい気もするが……

「水の柩」(154/144) やはり、こっちの道尾、好きです 人形を三人で投げ込むシーンは キレイでした 意味は無いかもしれない でも やるべきだ やらないと始まらない 苦しくて、みじめで、情けないけど 圧倒的な希望に包まれ、微かかもしれないが美しく輝いて…

こんなの書けるの、道尾秀介だからですよね

「カササギたちの四季」(79/144) 米澤穂信の解説から衝撃の一文を引用する この構造は ミステリにおける「なぜ謎を解かなければならないのか」 という問題への 有効な回答となっており…… マヂで凄い作品である リサイクルショップの社長と副社長と 訳ありで…

ぞわぞわする

「月と蟹」(139/144) 小学五年生、男二人、女一人の物語 直木賞だ けっこう深刻な問題をサラリと流す小学生の残虐性と 些細なことで自分世界の崩壊を感じる小学生の無邪気さを 道尾が書くと、こうなるのか…… 少年二人の友情 父無し少年の母と 母無し少女の父…

木村拓哉で良いと思う

「月の恋人」(76/144) 道尾、余裕の一作とでも言えば良いのでしょうか あとがきの本人のコメント さすがです 連続ドラマのための原作書き下ろし それをもとに脚本化 あとからチェックしたら あとがきに書いてある通り 全く違う物語になってたんですね ま、木…

やりすぎだけど、やりすぎじゃない

「球体の蛇」(40/144) この後味の悪さ 気持ちいい 快感 ってヘンタイ、かな〜 道尾ワールドの醍醐味だと思うのですが いかがでしょうか? 小さな田舎の町 主人公は高校生の男子 母は離婚して出ていった 父は仕事で単身赴任(というか息子が東京に戻るのを拒…

(ちょっと偉そうに書きますが)道尾はこの方向で良いと思う

「光媒の花」(17/144) 玄侑宋久の解説を引用します 〜(前略)ほどなく頭に何の冠もつかない ただの「小説」を書くようになっていったのである。 連作短編集 それも山本周五郎賞受賞作品 ミステリでもホラーでもないただの小説です 6つの作品が作り出す風景…

うまい文章を書く人が書くうまいミステリ、当然

「花と流れ星」(91/144) 真備シリーズ。 背、爪ときて、今回は短編、五つ。 霊現象探究所に舞い込む「小さな」事件。 そこに潜む「心の傷」。 少年の心。 師匠の魂。 少女たちの確執。 娘の苦悩。 爺の絶望。 その傷が心霊現象として露出し、 その謎を「解く…

決してあなたを裏切らない

「龍神の雨」(63/144) 確かに 道尾は裏切らないね 再婚してすぐに母が死に、血のつながらない継父が残った。 兄妹。 再婚してすぐに父が死に、血のつながらない継母が残った。 兄弟。 継父が妹を? 継母が実母を? 子供たち4人の思いが、悩みが、企みが、そ…

鬼は、いる、ここに

「鬼の跫音」(52/144) 道尾、短編、6つ。 基本、人を殺してる話。 人を殺す理由とか、 人を殺す気持ちとか、 分かりそうで分からない。 理屈では分かるけど、 それを現実に移行させるところが理解できない。 でも、理解できるわけないのかもしれない。 それ…

やっぱ、凄い、や、圧倒、的

「カラスの親指」(134/144) 全てが先回りして展開していく、 道尾ならではの非常に手の凝った物語。 主人公が時折感じる不自然な感覚は、 何時しか読者に伝染していく。 この感覚は道尾の仕掛け? それとも?? 闇金に母や子供や妻を「殺された」人たちが、 …

敢えて言おう、道尾クオリティであると

「ラットマン」(2/144) いやー、巧い。 実に美しい。 研ぎ澄まされたミステリ。 素人バンドの面々がスタジオで練習している最中に、 元ドラマー、現ドラマーの姉が死亡する。 事故?否、殺人。 昔の出来事。 主人公、姫野の姉は23年前に死亡している。 事故…

若さとは、苦しさと比例する

「ソロモンの犬」(96/122) 道尾クオリティ満喫。 青春、若さが息苦しいほど伝わってくる。 こんな大学生活、送りたかったよ。 悩める男達、女達、そして犬の生き様を、 見事なミステリに仕上げてあります。 仲良し(?)大学生4人組(男2女2)が主軸の物語…

限りなくパーフェクトに近いミステリ

「骸の爪」(46/122) 道尾秀介って 物凄い作家さんなんですね。 本作品の ミステリとしての完成度、 いや、完璧です。 謎解き、トリック、薀蓄、 全てにおいて ミステリファンとしては堪能させていただきました。 仏像の工房という、レアな場面設定でおこる…

気持ちが良い

「シャドウ」(131/122) このスッキリした読後感。 ミステリとしての気持ち良さ。 これが道尾クオリティ。 本当に、読書して良かったと思う。 ある母親の癌による死から始まる日常。 が、しかし、 突然訪れる、別のある母の飛び降り自殺。 二人の母の子ども…

道尾クオリティとは?

「片目の猿」(113/122) この作品のテーマ、 素晴らしいと思います。 中学校の夏休み読書感想文の課題図書でもいいでしょ!(ま、無理ですが) 人は、何かが欠けている存在であり、 その欠損を認めるか、拒否するか、 その二択でどちらを選ぶかが大事なこと…

混ざった感じ

「背の眼・上」(105/122) 「背の眼・下」(106/122) 道尾秀介の長編デビュー作。 ミステリなのか?ホラーなのか? 結末はどっちなのか? 理性か?感情か? そ〜んな不安定な気持ちで前半読んでいたのがバ〜ッカみたい。 最後のこの締めくくり方、さすがです…

唸らざるを得ない。。。

「向日葵の咲かない夏」(65/122) 初・道尾秀介でした。 で、 見事に引きずり込まれました。 最初から最後まで、 何を信じればよいのか、 何がこの作品の中における真実なのか? 不安にさせつつ、 所謂「名探偵」小学生が活躍する、 非常に緻密なミステリで…