趣味は「読書」ですから

毎日、本が読めて、美味しいお酒が飲めて、走って、そして楽しい仕事が出来る。それが一番。何事もなく、今日も読書が出来ることに、本当に感謝です。

癒されるとは

「145gの孤独」(79/122) 
 
 
一球の投球ミスで、
生きていく意味を完全に失った元プロ野球選手が、
再生していく物語。 
 
そんな「良くありがち」な心温まる物語に、
意外と切れ味鋭いミステリ要素を、
テンポ良く差し込んであるんで、
ちょっと要注意。
更に「大ネタ」も仕込んであって、
伊岡瞬、やるね。
 
子供のお守りとか、
フィリピンパブ絡みの色恋沙汰とか、
泊り込みでの掃除の手伝いとか、
最後は、
新人歌手のフォローとか。
それぞれの仕事の裏側にある「些細な」謎を解いていく。
些細といっても、当事者たちにとっては、
重大な問題だけども、
騒々しい世間では、誰も気にしないような事件。
そこにミステリがある。
 
非常に掴みどころがない感じで「事件」が進行していく。
それが、良くありがちな、単純なハートウォーミングな作品とは違い、
世の中の大勢を占める悲しさ、辛さ、痛みの中に、
ほんの一かけらしか安らぎは存在しなという現実を、
静かに、読者に叩きつける。
 
でも、その一かけらの為に、みんな生きてるし、
その一かけらを手に入れたとき、
いや、手に入れなくても、存在に気がついたとき、
人は癒されるのだろう。
 
主人公、倉沢にとっての145g(=野球の硬式球の重さ)。
僕にはあるのだろうか?145gの何かが。
 
  
※「もう一つの趣味は「ランニング」ですから

145gの孤独 (角川文庫)

145gの孤独 (角川文庫)

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