ああ、おもしろい
「おそろし 三島屋変調百物語事始」(102/144)
文庫の帯に書いてある通り
江戸中から集められたふしぎ話が、
娘の傷ついた心を溶かしていく。
それだけの物語です。
でも、それが良いのです。
読者の心も
江戸の町並みに、心やさしく溶けて行くのです。
五つのお話。
怪談?というか、ちょっと訳あり、
それも哀しく、切なく、やりきれない悲劇。
主人公・おちかも「悲劇」の持ち主。
それを乗り越えるため
人さまの様々なお話を聞くというもの。
もう、パーフェクトな宮部ワールド。
引きずり込まれまくり。
いちいちが響きます。
それにしても、やさしい、やさしすぎる物語だ。
中でも、おちか自身の物語、「邪恋」がお気に入り。
この、答えの無い悲しみを、どうするのか?
本作はシリーズでまだ始まったばかり。
宮部の描くやさしく哀しい江戸の物語、まだまだ楽しめそうです。
※「もう一つの趣味は「ランニング」ですから」
- 作者: 宮部みゆき
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2012/04/25
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