強い人、弱い人
「償いの椅子」(49/122)
バリバリでゴリゴリのハードボイルド。
警察内部、それも公安系。
薬物です、本作品は。
で、全てが国内で完結しているところが、
珍しいというか、新鮮というか、潔い。
登場人物の行動規範というか、精神構造が、
非常になじみやすいので、
共感できるところが多々あります。
強い人が突然弱くなったり、
弱かった人が或るきっかけで強く成長したり、
強さと弱さの間で人は揺れ動くのですね。
弱い人が腹をくくったとき、
その人の中に秘められた強さは無限大になる。
だがしかし、その隠れた強さは、自分でも認識できないかもしれない。
他人からも見えないかもしれない。
強い人が自分の潜在的な弱さを知った時に、
その弱さと向き合うか、無視するか。
そこが人生の分かれ目なのかもしれない。
本作の登場人物は、
それぞれが、人生の中で様々な「強弱」に出会う。
それは決して「善悪」では無い。
能見も南城も普通に考えたら、ただの悪い人、犯罪者。
でも「女の子」には・・・
その「強さ」がこの作品をハリウッド的なクライムノベルと一線を画しているところかと。
ハードボイルドが苦手な人にも、是非オススメしたい佳作です。
※はてな年間100冊読書クラブ(2005-2006.128/108)
※妄想キャスティング
http://mixi.jp/view_community.pl?id=424676
- 作者: 沢木冬吾
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2006/10/25
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 3回
- この商品を含むブログ (18件) を見る