思い出の回転木馬、ありますか?
「メリーゴーランド」(52/122)
また来ました、荻原浩のビジネスファンタジー。
性格に言えば「お役所仕事」ファンタジーかな。
どうしようもない田舎の赤字テーマパークの再建を任された!?
さあ、どうするっ。
で、荻原テイストなんで、リアルにはいかない。
かといって、ギャグまで振り切らない。
ファンタジーというラインで、虚構と現実の間を行ったり来たりしながら、
物語は展開していきます。
本作品のポイントは亀和田武さんの解説の一言に尽きます。
苦い。
この作品、苦いです。
「苦い」って不思議な言葉。
ネガティブなようで、「大人」「分る人間」にしか理解できないポジティブを内包している。
苦い経験は、心に残る。
苦い思いでは、ふとした時に甦る。
この苦さを多く懐に抱えている量が、人間の素敵さ加減と比例するのかも。
この作品は、とーーーっても素敵ですよ。
苦さと甘さが絶妙に混じりつつ。
リアルに考えさせられる場面が、さりげなく入っている。
仕事の意味。
生きていく上での考え方。
社会の中での次への選択。
後で思い返すと、ヘビーな問題提起があるんです。
最後の味は、個人的には、ちょっとしょっぱい苦さでした。
あなたは、苦いメリーゴーランドの経験、ありますか?
僕は。。。
※はてな年間100冊読書クラブ(2005-2006.128/108)
※妄想キャスティング
http://mixi.jp/view_community.pl?id=424676
- 作者: 荻原浩
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/12/01
- メディア: 文庫
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