「おれ」が似合う小説
「荒ぶる血」(53/122)
「おれ」は用心棒の殺し屋。
クールでクレバーで、切れ味鋭い男。
そんな彼の出生の経緯から始まる犯罪小説。
作者のジェイムス・カルロス・ブレイクも素晴らしいが、
翻訳書の加賀山卓朗さんも凄いと思う。
この主人公は「おれ」なんです。
「俺」じゃなくて、「自分」でもなくて「おれ」。
「おれ」の生き様、キャラクターの立ち方が秀逸。
冷酷非道なんだけど、いいんだな。
殺し方にも、何らかのルールがあるような。
もちろんイリーガルなルールだけど、
そんな主人公に惹かれてしまうのが読書の醍醐味。
もちろん、小説全体の流れも秀逸。
導入部分、最初は意味不明だけど、期待感は盛り上がる。
それが、徐々に徐々にラストシーンへ。
巧み。巧みすぎる。
あと、複数展開される男と女の物語が、
ひとつひとつ、全てが素敵です。
全部が独立した小説に出来るほどの完成度。
それぞれのエピソードにあふれるドラマ、じわじわ心に効きます。
作者の力量、本当に凄いです。
ちょっと、人殺し系の犯罪小説、苦手な人人にも、
是非、読んでもらいたい作品。
小説としての完成度、非常に非常に高いです。
※はてな年間100冊読書クラブ(2005-2006.128/108)
※妄想キャスティング
http://mixi.jp/view_community.pl?id=424676
- 作者: ジェイムズ・カルロスブレイク,James Carlos Blake,加賀山卓朗
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2006/04
- メディア: 文庫
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