死んではいけない
「烈火の月」(55/122)
野沢尚、死んではいけない人でしたね。
この作品はほぼ最後の作品なんですね。
なぜ、自死。。。
深作欣二監督との出会いで生まれたこの作品。
強烈な悪徳警官、登場!と思いきや、
滅茶苦茶いい奴、我妻。
彼を取り巻く、個性豊かな愛高警察署の面々。
ただの悪い奴、清弘。
マトリの切れた捜査官、烏丸。
そして、腐りきった面々。
各人のキャラクターと描き方が、野沢ならではなんです。
シャープで簡潔。潔い描写が気持ちよい。
清弘にも、さりげないバックグラウンドを用意する。
我妻の家庭環境も効いている。
それぞれでスピンアウトものドラマが成立する。
頁数以上に厚い内容が、そこには存在する。
シナリオライターなる所以か。
行間を読むというよりは、
作品の表層の背後に存在するはずの、
もう一つの日常世界をチラチラと頭の中に描く感じ。
本筋は「麻薬、薬物」犯罪もの。
死んではいけない人達が、死んでいきます。
薬物に関する様々な描写も読み応え十分。
読んでおいた方が良いと思います。
それにしても、惜しい。。。
※はてな年間100冊読書クラブ(2005-2006.128/108)
※妄想キャスティング
http://mixi.jp/view_community.pl?id=424676
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