現実の悲しさ、冷たさ
「送り火」(56/122)
「家庭」の話が九個。
とある架空の私鉄沿線を軸に描かれる。
(ちなみに京王線かと…)
基本的に、あまり幸せな話はありません。
文庫の裏表紙には「せつない日常を描いた」とありますが、
せつないより、もう少し、悲しく冷たいかもしれません。
それが現実なのでしょうか。
15年近く独り暮らしをしているので、
家庭とか、家族というモノに対するリアルな実感はなく、
その性でしょうか、クールに、客観的に本作品と向き合いました。
こんな苦しい思いをしてまで維持していく「家庭」というものは、
何事にも替えがたい価値があるものなのか?
それとも、ホモサピエンスという生物は、
子孫を残すために、こんな不条理な「家庭」というシステムを守らなければならない、
悲しく、不器用で、頭の悪い生き物なのか?
お気に入り作品は「もういくつ寝ると」。
お墓の話です。
こんな切り口で、お墓について考えたことありませんでした。
基本的にお墓って悲しい事柄ですよね。
しかし、人はその悲しさに向かって生きている。
その向かい方、人それぞれ。
来週、祖父のお墓参りに行くので、ちょっと新鮮でした。
ああ、不条理の中にしか、愛は存在しないんですよね。
いいなぁ。
※はてな年間100冊読書クラブ(2005-2006.128/108)
※妄想キャスティング
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