700頁、堪能。美しき、謎。
「双頭の悪魔」(73/122)
気がついたら午前9時。
まさに一気読み。
というか、有栖川有栖に一気読みさせられた、感じ。
直球勝負のミステリーだけど、
一見、そう見えないところが流石です。
だから、作品の中に違和感無く吸い込まれていくのでしょう…
一気読みの醍醐味、連休ならでは。多謝!
舞台は四国の山奥。
過疎の進む「普通の」村と、
その近くにお金持ちが「気まぐれ」で作った、自主的に隔離してる「芸術」村。
その芸術村で殺人が…
そして、物理的に(豪雨で)芸術村が本当に隔離される。
それと同じくして、普通の村でも事件が…
700頁のボリュームの中で、
時はゆっくりと濃密に過ぎていきます。
「芸術」村のアーティスト達のアブノーマルな感じと、
「普通の」村の素朴な人達の朴訥とした感じが、
二匹の邪悪な蛇のように絡み合う、、
、、なーんて気配が「表面的」に感じられないところが秀逸。
淡々と二つの謎が、それぞれの方法で美しく解かれていきます。
その控えめな美しさが、
悪魔の日常性を読者に突きつけてきます。
推理小説が好きな人ならば読むべき作品でしょう。
この700頁は、すぐに終わってしまうから、大丈夫ですよ(笑)。
※はてな年間100冊読書クラブ(2005-2006.128/108)
※妄想キャスティング
http://mixi.jp/view_community.pl?id=424676
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