彼女の狂気は、この世の正気
「グロテスク・上」(83/122)
なんてソリッドな。
なんて無駄のない。
なんて明快で厚い文章なんでしょうか。
もう、文字を追うだけで、嬉しくて、楽しくて。
桐野夏生の仕事、本当に素敵です。
主人公の狂気。
自分とは違うサイドに位置する彼女は狂気を孕んでる。
と言い切ってしまえば、自分を「正気」サイドに留めることが出来るでしょう。
でも、彼女の狂気、否定しまうのは簡単だけど、
少し、自分を冷静に、シビアな状態に置いてみれば、
非常に納得出来るわけです。
というか、否定してしまったら、
自分の存在を否定する危険性、自己矛盾、あるんじゃないの。
自分の中の「狂気」、ここでは「悪意」に読み替えること可能だと思う、
を否定する行為が最大の悪意、もしくは欺瞞。
悪意を認めてこそ、生きていけるのでは。
悪意は生きる力にもなるえるわけで。
果たして、この世に、悪意の無い人なんているのでしょうか?
さて、これから下巻です。
主人公「わたし」の「狂気」はどこに辿りつくのか。
本当にドキドキします。
※はてな年間100冊読書クラブ(2005-2006.128/108)
※妄想キャスティング
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