その町は、濡れている
「風の盆恋歌」(97/122)
友達と本屋に行って、
お互いのオススメ本を買って、あげました。
それで僕が貰ったのが、本作品。
八尾の「風の盆」はテレビで見た事があったのですが、
より鮮やかで優しい、その景色が、その音が、その風が、ここにはあります。
人の心が還る場所なのでしょうか。
ほの暗く、温く、湿っている。
日本という国に産まれた人ならば、一度は帰りたい場所なんでしょう。
そんな町での恋物語。
切なく、悲しく、美しい。
本当にベタなんですけど、この町でならば、許されるはず。
そう、この町では、それ以外、許されない。
踊りって、ストレートに生命を表現する行為ですよね。
激しい踊りは激しい命を。
悲しい踊りは悲しい命を。
じゃ、八尾の踊りは・・・
優しすぎる踊り、かなあ。
まず、自分からは買わないタイプの小説でしたが、
良いものは良いんですね。
ラストの父娘の踊る場面は、涙腺、緩まずにはいられませんでした。
秀作。
あ、ちなみに僕が買ってあげたのは「あかんべえ」です。
※はてな年間100冊読書クラブ(2005-2006.128/108)
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