一億三千万のジレンマ
「天空の蜂」(102/122)
東野圭吾としては珍しい国家テロもの。
物凄いエンタテインメント小説。
高速多重展開ストーリーは、
一歩間違えば、ただの急展開物語になってしまうけど、
彼は違う。力がある。質が違う。
濃密な時の経過、10時間を一気読みで堪能。
楽しい。
本当に面白い。
でも、でも、ただのエンタテインメントではない。
原子力発電という、大切な問題を描いている。
安全と言われているのに、
なぜか東京湾にはない原子力発電所。
いまや発電の30%?40%?が原子力でしたっけ。
石油を持たない国としては当然の選択、ともいえる。
でも何かの犠牲の上で成り立っている原発。
まあ、良い事があれば悪い事もある。
原子力発電、そのジレンマ。
誰が決めた?
否、誰が決めることを避けた?
この問題、どうする。
神話を信じて、このまま、突き進むのか。
神の怒りに触れるまで、知らない振りを続けるのか。
そんな問題意識も含みつつ、
しっかりとエンタテインメント。
一筋縄ではいかない佳作です。おすすめ。
※はてな年間100冊読書クラブ(2005-2006.128/108)
- 作者: 東野圭吾
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1998/11/13
- メディア: 文庫
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