権力のゲーム
「トリプル・クロス(上)」(103/122)
毎回、毎回、フリーマントルの作品は、
社会でサバイバルしていく上で、
とても役に立ちます。
今回は軸が二つあります。まずは悪の戦争。
ロシアのマフィアvsイタリアのマフィアvs北米のマフィア。
もうひとつは、もっと質の悪い「悪」の闘争。
各国の司法機関内の権力争い。
フリーマントルの真骨頂。
派閥、汚職、怨み、野望、遺恨、血筋、過去。
事件の解決よりも「大切」な闘いがそこにはある。
マフィアの皆様の戦いのほうが潔い。
金と恐怖と「頭脳」を駆使して、
とにかく自分の地位を守るシンプルなゲーム。
負けたら、命を失うだけで済む…
それに比べて、「正義」といわれる側の闘いといったら…
そんな事してる暇があれば、
早く事件を解決しなさい!!って感じ。
でも、それが社会。
一つの目的に向かってのシンプルな活動は、
その過程において無駄を生みません。
そんな純粋な世界の中で人が生きていく為には、
より大きなパワーを消費しなければならない。
真水の中で生きていくのは大変なんです。
マフィア界のような、純粋で緊張した世界は。
でもでも、普通の世界は無駄があるから、手を抜いて生きていける。
その無駄こそが「社会」そのものなのである。
だから人は生活ができる、楽に。
ダニーロフのシンプルな戦いを、
カウリーはとめることが出来るのか!?
いざ、下巻へ。
※はてな年間100冊読書クラブ(2005-2006.128/108)
- 作者: ブライアンフリーマントル,Brian Freemantle,松本剛史
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2007/05
- メディア: 文庫
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