この人殺し、美しすぎる
「水の迷宮」(105/122)
全てが美しすぎる殺人事件小説です。
現実世界で繰り広げられる、
劇的にファンタジーな事件。
解説で辻真先さんが書いているとおりだと思います。
結末が「甘く」て何が悪い。
これ、石持浅海だから持ちこたえられている、ギリギリのライン。
一歩間違えば、ご都合主義の薄っぺらな物語だったでしょう。
しかし、石持が心の底から信じてる、もしくは信じていたい「甘さ」が、
どのページからもあふれ出てくるから、
この作品は魔法のかかった小説になったのかと。
緻密な構成、美しく。
人物の設定、細やか。
物語の背景、巧み。
謎解きの部分も実に鮮やか。
上質のミステリーであることは間違いありません。
舞台は水族館。
心優しき登場人物たちが、
読者の心を和ませてくれます。
夏の午後、
クーラーを切って、
風を感じながら読んでほしい一冊。
※はてな年間100冊読書クラブ(2005-2006.128/108)
- 作者: 石持浅海
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2007/05/20
- メディア: 文庫
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