趣味は「読書」ですから

毎日、本が読めて、美味しいお酒が飲めて、走って、そして楽しい仕事が出来る。それが一番。何事もなく、今日も読書が出来ることに、本当に感謝です。

トリックの美しさと犯罪の悲しさと

「硝子のハンマー」(22/122)



エクセレントなミステリー!
日本推理作家協会賞受賞、納得!
何層にも重ねられたトリックのハーモニー。
マエストロ貴志祐介に操られる快感。


こんな密室殺人ミステリー、読んだことない。
不可能が可能になり、また不可能に。
その波状攻撃。見事な波状攻撃。
いつまで続くのか?
いや、出来ればずっと続けて私たち読者を翻弄しててほしい。
頁の進み具合から、
新しいトリックが登場するたび、自分なりに憶測する。
で、裏切られる…美しく、軽やかに。



そして、後半。
物語は思わぬ方向へ。
美しくも悲しいストーリーが急展開していく。
読み応え十分。
傑作です。



主人公二人。
女性弁護士と防犯コンサルタントという肩書きの男性泥棒。
この泥棒が繰り広げる防犯テクニック(=防犯解除テクニック!)が素晴らしい。
トリックの裏を支えるディテール。
ここが凄い。マジで凄い。
ここが本作品の面白さを2倍、3倍、4倍にしている。


また、この二人のキャラのぶつかり合いも秀逸。
物語が、一気に立体的に、生き生きとしてくる。
一歩間違えば、ただの解説文になってしまうところを見事にフォロー。
いや、フォローじゃなく、ストーリーを加速させている。
たまりません。



繰り返します。
読み応え十分。
傑作です!





はてな年間100冊読書クラブ(2006-2007.133/122)(2005-2006.128/108)

硝子のハンマー (角川文庫 き 28-2)

硝子のハンマー (角川文庫 き 28-2)