この怖さと、僕の好きな言葉
「象と耳鳴り」(15/122)
まずは、本作品から引用させていただきます。
(※文庫版・31頁より)
―批判するな。
腹を立てるな。
眉をひそめるな。
見下すな。
批判は心身を緊張させ、軽蔑は感情を磨耗させる。
この言葉、デジャヴかもしれませんが、
以前、何かの本で読んだことがあります。
それも、きっと、恩田陸の作品かと思います。
それ以来、物凄く気になっている言葉です。
この気持ちを噛締めて、世界中の人が生活していけるならば、
そこは、きっと、天国よりも素晴らしいでしょう。
※この言葉の出展、知っている方がいれば、お願いです、教えて下さい。
で、本作品。
文庫の西澤保彦の解説が素晴らしいので、
もう何も書くことが出来ないんですが、
兎に角、ミステリとして、本格ミステリとして、凄い世界に行っちゃってます。
全13作、どれもクールでソリッドで。
謎を解く初老の(きっとダンディ、とてつもなくダンディな)関根多佳雄がかっこいい。
論理で、
人の感情や、奇跡や、偶然や、御伽噺や、勘違いや、子供の純粋な感情を、
着実に「叩き潰していく」様は、
完璧なミステリ、でしょ。それも上品で、心地よい。
ちなみに、僕のお気に入りは「待合室の冒険」?それとも「往復書簡」かな。
さらに、短編全ての中に潜む、人間の悪意というか、汚い部分というか。
性悪説に基づけば、全人類が必ず持っている「負の感情」の怖ろしさが、
堪りません、さすが恩田陸です。
そう、恩田陸なんです。
※はてな年間100冊読書クラブ(2007-2008.134/122)(2006-2007.133/122)(2005-2006.128/108)
※「もう一つの趣味は「ランニング」ですから」
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