趣味は「読書」ですから

毎日、本が読めて、美味しいお酒が飲めて、走って、そして楽しい仕事が出来る。それが一番。何事もなく、今日も読書が出来ることに、本当に感謝です。

戦闘する

「伝説なき地・下」(25/122)



関口苑生の解説の中に、
凄く心に刺さるフレーズがありました。
ドイツの詩人エンツェンスベルガーの言葉みたいです。

 
  国家とは何か?
  国家は暴力の独占体という性格を持つ。


不幸な言葉だけど、
とてつもなくリアルだと思いませんか?



本作品、
下巻では、暴力のオンパレードであり、殺戮は繰り返される。
それぞれの人たちが、
それぞれの目的の為に戦い、死んでいく。
決して、暴力を賛美しているわけでも肯定しているわけでもないけど、
全てに悲しさが漂う。
欲に眼がくらんで、人を殺しているだけなんだけど、
船戸与一の描写には、人間としての性が隠されている。


冒険小説としては、ホント、一級品です。
最終決戦のシーンは、心に響きます。
マリアの最後は、、、
これ以上書くとネタバレなので止めておきます。


そして、このエンディング。
彼らは、
この先も殺戮を繰り返すのだろうか?
それとも、
暴力に甘んじ受け入れて、且つ、殺生の連鎖を断つことが出来るのだろうか。
個人個人の思いが、
暴力の塊である「国家」を越えることが出来るのだろうか。



素敵な作品でした。
なんか、ふとした時に思い出してしまうような作品です。
是非、一読あれ。





はてな年間100冊読書クラブ(2007-2008.134/122)(2006-2007.133/122)(2005-2006.128/108)
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