趣味は「読書」ですから

毎日、本が読めて、美味しいお酒が飲めて、走って、そして楽しい仕事が出来る。それが一番。何事もなく、今日も読書が出来ることに、本当に感謝です。

人の脆さ

「ビート 警視庁強行犯係・樋口顕」(29/122)



今野敏の警察小説に出てくる警察官の人達は、
実に脆い。
人間としての弱さと、
秩序を維持する警察官としての強さの間で、
揺れている。



その脆さを補強するのが、
国家を守るというプライドであったり、
守るべき妻、子供の存在であったり、
虚栄心や出世欲であったりする。


本作品の主人公・島崎は
気がつけばどうにもならない状況に追い込まれてしまう。
長男は先輩に「脅迫」され、
その先輩に自分も「脅迫」され、
ともに屈してしまう。。。
そして次男は「グレて」いて、
そんな家庭を妻は見捨てている。。。
さらに仕事の方でも、
捜査は、多分自分の「脅迫」のせいで失敗。
で、気が付けば、
次男が容疑者リストの筆頭に。。。



そんなボロボロの島崎を冷静に見ている樋口。
今回は脇に徹していて、
なかなかいい味だしてます。
ただ見ているだけでなく、
さりげなく助けようとする姿勢が、実に頼もしい。
自分もこういうスタンスを取れる人になりたいと思う。


そして、今回の大きなテーマであるダンス。
その描写が巧み。
文字でこんだけ踊りを表現できるのか!と驚愕。
さすが今野、並みの作家じゃありません。


警察小説としてだけでなく、
家族を再生を描いた小説としても、ダンス小説としても楽しめる佳作。
オススメです。





はてな年間100冊読書クラブ(2007-2008.134/122)(2006-2007.133/122)(2005-2006.128/108)
※「もう一つの趣味は「ランニング」ですから

ビート―警視庁強行犯係・樋口顕 (新潮文庫)

ビート―警視庁強行犯係・樋口顕 (新潮文庫)