考えることは自由であり無限であり
「迷宮百年の睡魔」(76/122)
森博嗣、百年シリーズ第二段。
主人公ミチルは、
取材で伝説の島、イル・サン・ジャックに「相棒」ロイディに赴く。
そこで出くわした首切り殺人事件。
その謎を解くのが本作品の大きなテーマではあるが、
決して主題ではないのが、
このシリーズの面白いこと。
ミチルとロイディ、
女王とミチル、
様々な会話のスタイルで提示される森博嗣からのメッセージを、
何気なく感じながら、
不思議な22世紀の幻想の国に身をゆだねる快感。
これが気持ちよい。
今回の話の中で、
生物は眠っているほうが普通で、正しい姿で、
仕方ないから(敵に襲われる?栄養を補給する?etc.)起きて活動しているのでは、
ってポイントがあったんだけど、
そこには、かなり打たれました。
それは、生というものにつながるテーマであります。
人間が考える「死」のカタチに近い睡眠状態に対して、
なぜ人は、
睡眠「欲」という非常に前向きな姿勢で取り組むのか。
死が忌むべきものならば、
本能的に、眠りも忌むべきものであるはずなのでは。
この考え方には、ちょっと驚き。
人は、もっと、もっと、
色々なことを考えなくてはいけないんですね。
で、本作品でミチルの謎、というか22世紀の謎が
かなり解明されました。
シリーズ最終回が待たれます、マヂで。
※はてな年間100冊読書クラブ(2007-2008.134/122)(2006-2007.133/122)(2005-2006.128/108)
※「もう一つの趣味は「ランニング」ですから」
- 作者: 森博嗣
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/05/28
- メディア: 文庫
- 購入: 3人 クリック: 23回
- この商品を含むブログ (72件) を見る