趣味は「読書」ですから

毎日、本が読めて、美味しいお酒が飲めて、走って、そして楽しい仕事が出来る。それが一番。何事もなく、今日も読書が出来ることに、本当に感謝です。

44→57

「グラーグ57・上」(135/122)
「グラーグ57・下」(136/122)
 
 
この痛み。
この辛さ。
その先にしか、本当の「生」はないのかもしれない。
 
ソ連とは、本当に、
1950年代に、こんな国家なのか?
そして、
こんな国家にも、家族は確かに、存在していたのか?
前作「チャイルド44」での苦難の乗り越えた、
主人公・レオ&ライーサ夫婦にまたも苦しみはやってくる。
過去の生きた亡霊からの復讐。
自分の死よりも恐ろしい、愛する者たちの死という、
過酷なペナルティ。
それも生きながらにして死んでいるという、究極の「拷問」。
レオは数々のフィジカルな拷問も受ける。
その描写たるや、凄まじい。
読んでいるだけで、紙面を正視出来なくなる感じ。
がしかし、
世の中には、
尋常な生活を送っている人には考えもつかない、
メンタルな拷問があることを本作は提示してくれる。
なぜ、
人は人を傷つけづにはいられないのか?
その悲しい答えが、44そして57の中にあるのではないだろうか。
理不尽な逮捕、そして強制労働、その先にある廃人への一本道。
そこには、小市民の身勝手な理由がある。
自分さえ良ければ、、、
その生きていくうえでの「本能」が、
世の中の不幸の源なんだ、という現実を突きつけられ、
読者は、きっと、それに反論できない。
 
辛いけど、44、そして57は読んでおいた方が良い傑作だと思う。
後半のブダペストのシーンは圧巻。
これはフィクションを超えている。
 
今の、この日本という「平和」な場所にいる僕たちは、
生きているだけで幸せなのか?
それとも、生きているだけの愚鈍な生き物なのか?
 
 
はてな年間100冊読書クラブ(2007-2008.134/122)(2006-2007.133/122)(2005-2006.128/108)
※「もう一つの趣味は「ランニング」ですから

グラーグ57〈上〉 (新潮文庫)

グラーグ57〈上〉 (新潮文庫)

グラーグ57〈下〉 (新潮文庫)

グラーグ57〈下〉 (新潮文庫)