趣味は「読書」ですから

毎日、本が読めて、美味しいお酒が飲めて、走って、そして楽しい仕事が出来る。それが一番。何事もなく、今日も読書が出来ることに、本当に感謝です。

エロを超えた色と香

「私の男」(103/122)  
 

桜庭一樹
これ、凄い。
もう、完全に引き込まれた。
面白い小説って、こういうことだと思います。
 
おとうさんとの離別から出会いまで、
15年間を遡るスタイルで作品は進みます。
その構成が素晴らしい。
読むたびに、読み進めるたびに、
その背景が、後のページで待ちうけているという喜びが、
もう読書ドーパミンMAXに。
でも、いつも、ギリギリで終わり。
結果を桜庭は明示しないが、
読者としては、最高の状態で放置される感じかな。
そのテクニック、流石、直木賞。間違いない。
 
そしてこのテーマ。
15歳離れた養父?
もう、完全にAV?ポルノ?エロ漫画の設定?!
だって、おとうさん=私の男ですよ。
これはもう、、、
 
って、そんな下卑た作品じゃない。
安心して読んでください。
人と人が会う時に、何かが変わる。
良い方向に向かう場合あり、
悪い方向に向かう場合あり。
それを、丹念に、優しく、正直に書いてるだけだから。
その関係にエロという単語をあてるケースもあるかもしれない。
ただそれだけだ。
 
僕のお気に入りは、娘を待つ、冬の夜中、父のシーン。
痺れる。
そして、それを真正面で受け止めた娘のフィアンセ・美郎の強さにもうたれた。
なぜ逃げない?
結婚するということは、こういうことなのかもしれない。
 
この父と娘の関係を
あなたはどういう言葉で表現するだろうか。
 
それにしても良い小説だ。
心にしみたね。
人は人と会うべきなんだよ。
 
  
※「もう一つの趣味は「ランニング」ですから

私の男 (文春文庫)

私の男 (文春文庫)

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