固定概念は、人を助ける場合も、あります、たまに
ふしぎな「心臓と左手」(21/144)
石持浅海の名作「月の扉」の続編ではないけど、
流れを緩やかに受けている短編連作集。
主人公は「座間味くん」。
構成は「安楽椅子探偵」モノの王道。
ただ、中身はというと、
非常に、悲しく、厳しく、人間の儚さを感じずにはいられない結末だ。
活動家からの脱出?
新興宗教の信者のリアル?
過激派の内紛?
環境テロリストの生業?
テロリストの愛情?
沖縄基地問題の本質?
全て、国家警察が一度解決した(しそう)事件。
その事件の解釈は、
警察として、国家としての物語であり、
それは「既成概念」と「偏見」によって補強されたストーリーとして完結する。
が、しかし、
座間味くんは、
そこにいた当事者の「感情」、「都合」、そして「打算」から、
事件の真逆の真相を解き明かしていく。
その結末は、決して後味の良いものではなく。
どちらかといえば、切ない、切なすぎる。
そして、最後の作品『再会』は、『月の扉』の後日談ともいうべき作品。
これも、悲しい。
けれど、これが事件の真相なのかもしれない。
だって、悲しくないところに、事件は起きないんだから。。。
※「もう一つの趣味は「ランニング」ですから」
- 作者: 石持浅海
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