子供は存在自体がファンタジーなんだね
「そこへ届くのは僕たちの声」(80/144)
初、小路幸也です。
なんて優しい物語なのでしょうか。
久しぶりに、
気がつかないままに、涙が頬をつたっていました。
心地よいSFファンタジー。
誘拐?植物人間?神隠し?
そんな不可思議な現象が脈絡もなく発生。
さあ、どういう方針で読むべきなのか?
読者は躊躇する。
オカルトなのか、ミステリなのか、
はたまたピュアな純文学に突入するのか?
ドキドキ、ハラハラ。
そんな読む人の思いを無視するかのように、
登場人物に、
どうも悪人は皆無であり、
全員、間違いなく善人であるという事実があり。
そして、車椅子の少年が、
宇宙の無重力環境で、はじめて自由になれるという現実があり。
本当に「不思議」を享受できる素敵な作品。
子供であるだけで、幸せだったんだ。
改めて実感できるのは、
今、生きているから。
スーチャンの新たなる旅立ちの日に、
この作品に出会えたのも、
今、生きているから。
※「もう一つの趣味は「ランニング」ですから」
- 作者: 小路幸也
- 出版社/メーカー: 新潮社
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