圧倒的なプレゼンテーションです
「極北クレイマー・上」(92/144)
「極北クレイマー・下」(93/144)
海堂尊は吠える。
日本の医療の行く末を案じて吠えたぎる。
その姿勢は海堂の医系作品全体にあてはまると思うが、
本作の「熱さ」は尋常じゃない、と感じる。
舞台は北海道、極北。
以後、極北=夕張、と認識してほしい。
で、無意味なリゾート開発と、
三位一体の行政改革の「おかげ」でボロボロの極北。
地元の無知と中央の無知が最大限シンクロした結果、
極北市民病院は崩壊寸前。
そんな中に、訳ありでやってきた外科医・今中。
北の果てで心も体も朽ち果てた病院を、
彼は復活させることが出来るのか!?
という流れとシンクロして発生する
医療ミスに関する、民事ではなく刑事起訴事件。
そこには、国家の権力闘争、
医療という「聖域」を虎視眈々と狙う警察権力のパワーゲーム。
更に、海堂作品の超マドンナ・姫宮も登場。
基本、語り口はウダウダ、ダラダラ、モッサモッサだが、
その裏に隠された、
医療、地方自治、そして命の問題は半端無く巨大であり、
読者は、それに押し潰されそうになる。
そして、最後に、
海堂は、
一気に吠える。
賛否両論ある作品だと思います。
これで作品として成立しているのか、疑問に思う人もいることでしょう。
これ、想像以上の問題作だと思います。
このやり方、書き方自体が問題作。
ちなみに、僕は支持します。
これも立派なプレゼン・エンタテインメントかと。
桜宮サーガも楽しいけど、
極北の奇跡の物語も、ワクワクドキドキですよ。
※「もう一つの趣味は「ランニング」ですから」
※はてな年間100冊読書クラブ
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