何もない話
「カルトローレ」(105/144)
空想、妄想。
人の想像力は果てしない。
本作品、無限に広がる。
特に結末があるわけではない。
作品に出てくる「船」の謎を巡る物語、、、と思いきや、
あくまでも「船」は船だったりする。
その船から下りてきたタフィは、
膨大な航海日誌、カルトローレの「解析」を依頼されるのだが、
その任務、達成したとも、いないとも、、、
そこには明確なゴールが無い。
そう、何も無い。
長野まゆみが綿密に築き上げる完全夢想の世界で、
読者は、あてどもなく彷徨う。
日和聡子の解説が絶妙に言い当てている。
なかなか難しい読書を強いられる作品であろう。
本がリードしてくれない。
読者がそのまま投影される感じ。
今の自分の状態が、
完全無欠の空想世界に練りこまれていく感覚。
それが心地よいのか?
それとも違和感を感じるのか?
それは、読者次第、なのかも・・・
※「もう一つの趣味は「ランニング」ですから」
- 作者: 長野まゆみ
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/12/24
- メディア: 文庫
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