すき間の緊張感
「ピース」(130/144)
秩父で発生したバラバラ殺人事件。
主要人物が集うスナック。
事件を追う警察。
様々な人間模様が、
断片的、同時多発的に展開してるのに、
何かしらのまとまりが読者の前に見えてくる。
なんだろう。
この感覚。
本作品、作品中で明らかになる「謎」を、
必ずしも全て「解明」しているわけではありません。
解明途中で放り投げているものもあるし、
解明の経緯を明示していないこともあります。
特に、登場人物に関して、すき間があります。
そのすき間が、
読んでいるうちに埋まるようで埋まらない。
その気分、まさに現実社会。
日々、生活していく中で見えてくるすき間を全て埋めてたら、
息苦しくて生きていけない。
すき間を意識しつつ、ある時は無視しつつ。
そんなポイントを樋口有介は突いているのかもしれない。
このクライムノベル、甘く見ちゃいけない。
必読度、高いかと。
※「もう一つの趣味は「ランニング」ですから」
- 作者: 樋口有介
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2009/02
- メディア: 文庫
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