趣味は「読書」ですから

毎日、本が読めて、美味しいお酒が飲めて、走って、そして楽しい仕事が出来る。それが一番。何事もなく、今日も読書が出来ることに、本当に感謝です。

性交しなくても小説は成立する

「ラジ&ピース」(44/144)  
  
 
絲山秋子、いいね。
本当にいいね。
100回くらい、いいね。
 
この「抜き」加減、絶妙。
物語が成立する最も緩いラインを攻める。
最高球速100キロで20勝投手、って感じ(?)
 
中編2つ。
タイトル作「ラジ&ピース」はラジオパーソナリティが主人公。
ラジオの現場に携わっていたことがあるだけに、
このリアル感は圧倒的。
嘘の無い現場描写に感動しました。
 
で、その先の、これまた緩い展開が心に刺さる。
世の中の現実よりも、ちょっとだけ先にある事件。
8ミリ先、って感じ(?)
 
感動までいかない心の揺れ。
そう、人は、感動ばかりして生きているわけでない。
揺れているだけ。
その揺れを、無理やり感動レベルまで持っていこうとするから疲れる。
そして幻滅する。
揺れを感じて、その振れ幅をきちんと把握することが、
最も人間らしく、そして感動的な生き方なのだろう。
 
そんなことを教えてくれる名作です。
癒される、という陳腐な言葉では片づけられない、
小さな煌めきがあると思います。 
 
すぐ読めますが、
長く残ります。
是非。
 
    
※「もう一つの趣味は「ランニング」ですから

ラジ&ピース (講談社文庫)

ラジ&ピース (講談社文庫)

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