なぜ、合衆国の、田舎町には、ドラマが、あるのだろうか?
「愛おしい骨」(117/144)
良くあるパターンのミステリ。
でも、超面白いから安心してください。
特上の人間ドラマがありますから。
それにしても、
本当に北米ミステリはこのパターンが多い。
なぜだ・・・
やはり歴史がないから?
歴史がない土地に、歴史を作ろうとする気持ちは同じであり、
それが全てを均一にしてしまうのだろうか。
それとも、
我々、歴史を継続することも、否定することも、無視することも、尊重することも出来る日本人には、
彼らの思い、行動は均一に見えてしまうだけなのだろうか。
でも、歴史に囚われないからこそ、
そこに、より鮮やかな人間が浮かび上がるのが北米作品の特徴かと。
これは欧州人にもアジア人にもできない「離れ業」である。
で、本作。
兄が20年ぶりに生まれ故郷の「ド田舎」に帰ってきた。
20年前、彼の弟は失踪していた。
その弟の骨と思われる骨が、
実家に置かれていることが発覚したのが里帰りの理由だ。
そこには、夢遊病の父と謎のお手伝いさんが、
20年前と変わらずいた。
そして、その骨が弟だと判明。
失踪ではなく、殺人と明確に断定。
骨から殺害状況も明らかに。
そして、事件が20年ぶりに動き出す。
そして、町も動きだす。
町の住人たちも、動き出さざるを得なくなる。
人々の思い、行動が、実に丁寧に書かれている。
読んでいて気持ちがよい。
作者、そして翻訳者の素晴らしい仕事に感謝。
当然、最後には弟を殺した犯人が見つかるのだが、
本作品の本質は、犯人の謎解きではない。
登場人物たちの生きている様、それ自体がミステリであり、
殺人は、その中の1ピースに過ぎない。
読書を堪能したい時、オススメ。
秀作です。間違いない。
※「もう一つの趣味は「ランニング」ですから」
- 作者: キャロル・オコンネル,務台夏子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2010/09/11
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