正気を失う感覚
「黙の部屋」(123/122)
絵画の魅力を、
こういう形で教えてもらえて、
ちょっと嬉しい気持ちになりました。
石田黙という作家をめぐる物語。
この作家は、フィクション?ノンフィクション?
作品中、随所に差し込まれている絵画の数々は、何?
誰の作品?
ミステリーとしての完成度も高いと思いますが、
絵画というモノに、のめり込んでいく人々の様が、
実に生々しく描かれています。
この登場人物達の気持ちが、自分にジワジワと浸透してきて、
今すぐ、銀座の画廊に行って絵を見たくなったり、
ネットオークションで絵画を買ってみたくなったり、
美術館で無為に時間を過ごしたくなったり、、、
うーむ、味わい深い。
そんな、折原一が仕掛ける罠に、
読者は、気持ちよく嵌り、
現実世界の事象と、作品内の世界の境界線を見失い、
文章の渦の中に溶け込んでいく。
うん、このタイプのミステリー、久しぶりに読みました。
叙述トリック、この戦法があったとは!!
まだまだ、出会ってない作品がたくさんあるんでしょう。
さあ、秋だ。本、読もう。
※はてな年間100冊読書クラブ(2006-2007.133/122)(2005-2006.128/108)
※「もう一つの趣味は「ランニング」ですから」
- 作者: 折原一
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