趣味は「読書」ですから

毎日、本が読めて、美味しいお酒が飲めて、走って、そして楽しい仕事が出来る。それが一番。何事もなく、今日も読書が出来ることに、本当に感謝です。

乃南アサ

どう読むか、読者の自由

「それは秘密の」(64/144) ライトな乃南ですね といっても文章量がってことです 短くても その奥に、その前に、先に、その向こう側に 何かを見つけるか、見つけないかは読者次第ですから 9つの短編集 恋愛、エロ、男女関係をテーマにした ちょっとした物語 …

ありがとう、読書の神様

「いつか陽のあたる場所で」(75/144) 「すれ違う背中を」(76/144) 「いちばん長い夜に」(77/144) なぜか、このシリーズ、未読でした きっと、ドラマ化ってことで避けていたのでしょう で、今回、シリーズ完結と言うことで購入 そして、一気読み この一週間、…

家族っていいね的を全否定

「暗鬼」(155/144) 家族という人の集合体の 気持ち悪い部分を フルスペックで書き上げると こういう気持ちの悪い作品になる 乃南の「嫌」な力に引き寄せられて 心は ただただ 沈んでいくばかり 1993年の作品 携帯電話も普及前夜 インターネットの無い時代 家…

立場、変われば

「禁猟区」(122/144) 本当に警察小説の可能性は無限大ですね 警察官の犯罪を捜査するのが業務 警視庁刑務部人事課 監察官 そこで働く女性が主人公 中編4つ それぞれ「罪」を犯す警察官を中心に 物語は進んでいく 仲間を「裏切る」と思われがちな立ち位置あ…

ドラマチックを排除したドラマ

「地のはてから 上」(106/144) 「地のはてから 下」(107/144) 乃南の筆力に脱帽 普通の人間の普通の暮らしを描いているだけなのに 引きずりこまれます 実は「ニサッタ、ニサッタ」の前段なんです 貧しい家族の物語 20世紀の半ばの生き様が、そこに在ります …

70年代、80年代の空気はやさしい

「自白 刑事・土門功太朗」(73/144) 巧く生きる事が出来ない人たちの切なさ 彼らの行動が引き起こす喜びや悲しみ 今回は、刑事・土門を通して描き出します 自白のプロフェッショナル 落としの達人、刑事・土門が活躍する 彼が活躍する短編4つ 昭和の事件だ…

明日への絶望

「ニサッタ、ニサッタ 上」(24/144) 「ニサッタ、ニサッタ 下」(25/144) 乃南のやさしい視線が 21世紀初頭の日本の社会に容赦なく切り込む 厳しさに立ち向かわなくては生きていけない 現実はそこにある 主人公、耕平、中途半端な男 どこにでもいるような 真…

ダメはより強くなり

「ウツボカズラの夢」(138/144) 日常的にいる少しだけダメな人たち。 致命的なダメではなく、 何かのキッカケで悪い方に転げ落ちる要素を孕んだダメを持つ人たち。 そこに人間のドラマを見つける乃南アサの視線に、 毎回関心させられるわけで。 ちょっとダメ…

異色

「犯意」(74/144) 乃南アサだから、 これが作品として成立するんだよな。 並みの作家じゃ、 週刊誌のゴシップ記事にしかならないあ。 何が異色かというと、 12の短編に、 裁判員制度で、 裁判員として呼ばれたときにもしかしたら「参考」になるような、 それ…

音道ちゃん、素敵すぎる

「風の墓碑銘・上」(60/122) 「風の墓碑銘・下」(61/122) 乃南アサが作り出した、 音道貴子という、類まれに見る、素敵なキャラ。 その彼女が、 あの「凍える牙」でのナイス(!)相棒、滝沢さんと組むんだから、 面白くないわけがない。 で、この作品の何…

まじ、泣けた。

「しゃぼん玉」(81/122) 他愛の無い話です。 でも、泣けたっす。 地下鉄の中でヤバくなって、 急いでページ、閉じたんですけど、間に合わず。。。 目は完全にウルウルでした。 家で読んでたら、嗚咽、間違いなし。 生きることの、 目的を失い、意味を忘れ、…

僅かの光と、終わりなき命と

「晩鐘・下」(65/122) 乃南アサの、文庫1,300頁。 腹に、ズズっと来ました。 かなり効きました。 久しぶりに味わう、この読後感。 人が背負わなければならない罪とは、どういうことなのでしょうか? 罪は、罰だけでは、許されないのでしょうか? この重い結…

、、、、ぅう、暗い、重い、切ない。

「晩鐘・上」(64/122) 乃南アサの 救われない小説。。。。。 この、春の爽やかな陽気の、この町にも、 所々に、悲しみ、憎しみ、哀れみが潜んでいる。 いや、 潜んでいるのではなく、 どちらかというと、それらの負の力の方が、本当は主流派なのかもしれな…

信じるという才能、勇気、決断。それは力。

「駆けこみ交番」(9/122) 最近、疑惑・裏切系の作品ばかり読んでいたから、 より強く感じたのかもしれません。 人を疑うのは、簡単です。 信じるという行為の「凄さ」を感じました。 乃南アサだからこそ書ける作品でしょう。 ジャンルで言えば、警察小説。…

こんな女(と書いてヒトと読む)と付き合いたい

「嗤う闇」(17/122) 音道貴子。 ますます素敵な女性になっちゃって。 もう、可愛いんだから。 30歳なかばにして最高じゃない! で、刑事もの。 でも、音道刑事の華麗な解決っぷりを楽しむ、訳ではない。 所謂「事件」も、所詮「生活」の一部でしかないわけ…

ちょっと前に進みたい時に

「鍵」(118/108) 解説の受け入りになりますが、 本作品、とって優しい人間の成長のドラマです。 姉、兄、妹、3人が人生を前に進めていく。 ただ、その中でトリガーとなったのが「通り魔」だったわけです。 もちろんミステリーとしても立派に成立しています…

乃南ホラーか。一味、深いね。

「あなた・上」(53/108) 「あなた・下」(54/108) へえ、ホラーだったんだ。 心霊ものか。。。 でも、さすが乃南アサ、ただのホラーじゃないんです。 文庫の帯のキャッチ「哀しさが止まらない青春ホラーの金字塔」。 うん、確かに哀しい。 人を恋する感情と呪…

乃南アサ、いいっすねえ

「紫蘭の花嫁」 今まで見過ごしてきた作品です。 叙述ミステリ系なのかな。 読んでる途中で、頭混乱、随時読み返してしまいました。 主人公の姉の「トリック」というか引っかけというか、 完全に翻弄されちゃいました。 別に気にしなければ問題ないのに なぜ…