趣味は「読書」ですから

毎日、本が読めて、美味しいお酒が飲めて、走って、そして楽しい仕事が出来る。それが一番。何事もなく、今日も読書が出来ることに、本当に感謝です。

2008-01-01から1年間の記事一覧

みゆきのお江戸で年跨ぎってか

「日暮らし・上」(26/122) 「日暮らし・中」(27/122) 2008年は宮部みゆきで終わります。 135冊目。 幸せです。 でも、物語はまだ下巻が残っていますが。。。 時代物は実は苦手で、 宮部の江戸モノしか殆ど読みません。 ちなみに今年読んだ時代物は「孤宿の…

戦闘する

「伝説なき地・下」(25/122) 関口苑生の解説の中に、 凄く心に刺さるフレーズがありました。 ドイツの詩人エンツェンスベルガーの言葉みたいです。 国家とは何か? 国家は暴力の独占体という性格を持つ。 不幸な言葉だけど、 とてつもなくリアルだと思いま…

この冒険、「厚い」

「伝説なき地・上」(24/122) 船戸与一の書き綴る冒険は、 なぜ、こんなに面白いのか? 荒削りのように見えて、 実は、細かなミステリー要素が、 計算高く織り込まれているからなのだろうか? 本作品は、南米、コロンビアとベネズエラが舞台。 幕開けはレイ…

病院は、死ぬ場所でもある

「螺鈿迷宮・上」(22/122) 「螺鈿迷宮・下」(23/122) 桜宮サーガ外伝か、、、 とか思って読んでたら、 ど真ん中じゃないっすか。 田口先生はいませんが、 白鳥サンはちゃんといます。 そして、そして、 遂に、遂に、 あの「氷姫」が登場です。 それも、こ…

絶妙な空気感

「春期限定いちごタルト事件」(21/122) この作品の中に漂う、 なんとも言えない緊張感。 読書の楽しさ、ここに極まれり。 本格的なミステリーでありつつ、 小鳩君と小山内さん二人の心を葛藤を、 鋭く、優しく、薄く、軽く、描く、この世界観。 ライトノベ…

美しすぎるミステリー

「紅楼夢の殺人」(20/122) 中国の偉大なる小説「紅楼夢」がモチーフであることも知らず、 当然ながら「紅楼夢」の中身も知らずに、 読み始めた本作品。 美しい。 描かれる世界も美しい。 登場人物は圧倒的に美しい。 当然、謎解き、美しい。 このパーフェク…

スポーツマンシップよ!

「銀輪の覇者・下」(19/122) 様々な人間模様をはらんで、 昭和9年の日本縦断サイクルロードレースは、 結末を迎える。 第二次世界大戦、太平洋戦争を控えた、 きな臭い日本の情勢をも巻き込んだ、 スケール観の大きな本作品に登場する、 小さな人間たちは、…

SFかと思った。。。

「銀輪の覇者・上」(18/122) 自転車の長距離レースって、 面白いんですよね。 ケイリンじゃなくて、ロードレース。 ツールドフランスみたいなヤツ。 何日もかけて走るレース。 実は複雑で、戦略的なスポーツである自転車レースの醍醐味を、 実に鮮やかに、…

尋常じゃない急展開を読む

「天使のナイフ」(17/122) 後半の 目まぐるしく物語が進展する 書きっぷり いや 伊達に 江戸川乱歩賞受賞してるわけじゃないっす 少年犯罪、 この微妙な問題に、 真っ向から取り組んだ社会派ミステリでもあり、 サスペンス要素もふんだんに取り入れた、 エ…

美学

「愚か者死すべし」(16/122) 美しく生きるということは、 我慢することなのか? ハードボイルドと呼ばれる小説には、 洋邦問わず、 見た目は今一つだが、 非常にカッコの良い中年の刑事、探偵、犯罪者、市井の人、、、が登場する。 性別は概ね男。 本作品で…

この怖さと、僕の好きな言葉

「象と耳鳴り」(15/122) まずは、本作品から引用させていただきます。 (※文庫版・31頁より)―批判するな。 腹を立てるな。 眉をひそめるな。 見下すな。 批判は心身を緊張させ、軽蔑は感情を磨耗させる。 この言葉、デジャヴかもしれませんが、 以前、何か…

とてつもなく、さりげなく、楽しく、切なく

「最後の願い」(14/122) 光原百合という作家は、 本当にさりげない日常風景を、 どうして、こんなにドラマチックに仕立て上げてしまえるのだろうか。 誰もが毎日通り過ぎている風景の中に潜む「事件」を、 こんなに巧みに切り出せるなんて、、、 感服です。…

文字が踊る

「魔術師・上」(12/122) 「魔術師・下」(13/122) ディーヴァー(そして、池田真紀子の翻訳)の繰り出す文章は、 なぜ、ここまで、高速で展開していくのだろうか。 次から次へと繰り出される事件は、 ただ、ただ、連発されるわけでなく、 有機的に、 実に巧…

実は骨太な作品です(ハート)

「夏期限定トロピカルパフェ事件」(11/122) いや、これ、もっと早く読んでいたかった。 タイトルと カバーデザインにだまされていました。 でも、この前に「いちごタルト」があるんですよね。 順番、間違えちゃいました。残念。 早速買いました。 読まなき…

ストレートな刑事小説

「残照」(10/122) 今野敏の刑事もの。 実にオーソドックス。 まあ、意外な展開はない。 大技も繰り出されない。 が、それが、登場人物を活かしている。 登場する警察の人達、そんなに特出した人達はいない。 追われる側の人間たちも非常に地味である。 そん…

故郷の存在

「帰郷-刑事・鳴沢了」(9/122) 鳴沢は新潟に戻った。 父が死んだので。 それが5作目、本作品。 ナイスなデカ鳴沢が父の未解決の事件に挑む警察警察小説。 でも、今回は、 今や管轄外の故郷での事件なので、 あまり警察色が濃くないです。 どちらかというと…

イヌと戦争と人間

「ベルカ、吠えないのか?」8/122) 衝撃的な作品でした。 なんと評せば良いのか分かりません。 敢えて言うならば、格調高い、とでも言うのでしょうか。 誇り高き作品でしょうか。 簡単に言えば軍用犬の物語なのです。 それにまつわる政治、国際情勢と、 歴史…

えっ!?ここで泣かされるなんて。

「1985年の奇跡」(7/122) いやね、 バカで純粋な青春謳歌小説だと思っていたわけですよ。 中途半端な高校2年生の「僕」が、 恋愛とか、勉強とか、そして本作品の軸である野球を通して、 ほろ苦いノスタルジーを感じられるだけだと思っていたんですよ。 事実…

おおぉ、ミステリー

「グラン・ギニョール城」(6/122) これぞ、ミステリー。 二重構造で進む物語。 ミステリーを読むぞっ!って気にさせてくれます。 お約束も固い。 私立探偵と国家警察。 先生と助手。 このステレオタイプな設定で、どう読者に切り込んでくるのか? さあ、読む…

この作品名で何を思いますか?

「人間動物園」(5/122) このミス2003年の7位、ってことだけで読み始めた本作品。 連城三紀彦作品もはじめて。 作品名も刺激的でしょ。 ちょっと「猟奇的」なのかも、とか思いつつ、 読み始めたら、あれよあれよというまに一気読みでした。 とりあえず事件が…

小説らしい小説

「ムーンパレス」(4/122) 同僚の鈴木さんから薦められて読んでみた。 自らは、手を出さないであろうジャンルの作品。 で、読んで正解。 紹介してくれて多謝。 実に淡々と、 抑えた雰囲気で、 若さの狂気と言うか、生気というか、なんだろう、 力と気持ちが迸…

マコトは信用できる、だから池袋に行く

「灰色のピーターパン〜池袋ウェストゲートパーク6」(3/122) 六年目、ですか。 マコトも大きく(って二十歳そこそこですが)なりました。 単行本では八年目までいっているようですが、 ま、二年遅れくらいが、マコトとの距離感としては絶妙かと。 さて、 今…

解釈の楽しさ、実感

「信長の棺・上」(1/122) 「信長の棺・下」(2/122) 宮部みゆき以外の歴史(時代?)小説は、 めったに読みませんが、 これほどの「話題作」はマスト読かと思い、 前知識なく読み始めました。 へ〜、本能寺の変、なんだ。 そうか、信長がテーマならば当たり前…

ソ連とは、本当に、こんな国だったのか。。。

「チャイルド44・上」(133/122) 「チャイルド44・下」(134/122) 物凄く完成度の高い作品です。 連続殺人を、これほど多角的に描けるなんて、感動的ですらあります。 犯人の目線。 犯人を追い詰める人の目線。 被害者の目線。 被害者家族の目線。 国家の目線…

負けたと思っている人の下品なSEX

「ララピポ」(132/122) いや〜。。。 朝から地下鉄の中で読んでいて、 久しぶりに「嫌な」気分になりました。 人と話せない駄目ライターが最後にたどりつくSEXとは? 風俗専門スカウトマンの純愛とは? 家を片付けられない熟女AV女優の犯罪とは? NOが言えな…

伊坂が綴る日本

「魔王」(131/122) おおおお・・・ こういう伊坂幸太郎もあるんだ。 何小説なんだろう。 なんて言って、人に本作品を紹介すれば良いのだろう。 これまで伊坂を読んでる人には? 今まで伊坂を未読の人には? うううう・・・ 政治を語り、夢を語り、日本人を語…

病院という空間

「ナイチンゲールの沈黙・上」(129/122) 「ナイチンゲールの沈黙・下」(130/122) 病院という、 健康な人にとってはミラクルな、 そうでない人にとっては、 忌むべき場所なのか、救いの場所なのか、 境界線が微妙な世界で繰り広げられるサスペンス、そして人…

終わらない物語

「ユージニア」(128/122) これを読んで、 煮え切らない人は多々いるだろうな〜 でも、現実は、 結果とか理由とかは限りなく曖昧であり、 それらが明確に提示されている場合は、 逆に何かしらの恣意が働いているのでは、と疑うべきかと思ったりして。 過去の…

悪意を感じない力

「追憶のかけら」(127/122) 貫井徳郎、 長編、文庫653ページ。 巧みな仕掛けで、 読書の、犯人探しという試みを、悉く翻弄する。 ページの残りから見て、 ミスリードだと分かっていながらも、 作者の罠にはまってしまう。 二つの物語が同時進行する。 全く関…

正義と予算

「叛逆指令・上」(125/122) 「叛逆指令・下」(126/122) ※以下、「正義とは?」というテーマには触れませんが。。。 クランシーのオプセンターも11作目なんですね。 で、本作、久しぶりのスマッシュヒットではないでしょうか。 このタイトな展開。 気がついて…