趣味は「読書」ですから

毎日、本が読めて、美味しいお酒が飲めて、走って、そして楽しい仕事が出来る。それが一番。何事もなく、今日も読書が出来ることに、本当に感謝です。

2017-01-01から1年間の記事一覧

間に合ったよ

「御子柴くんの甘味と捜査」(30/144) さて、2017年ラスト 若竹ミステリ やっぱりストレートなミステリじゃありませんでした 長野県警から警視庁に出向した御子柴くん 長野と東京を股にかける事件の解決、処理に励む日々 5つに事件が登場します 殺人や盗難、…

文庫700頁で語られた事件と人生

「鍵の掛かった男」(29/144) いや、長かった、700頁 でも、この厚みが「殺された」主人公・梨田の人生を 物語っているのかな、と ホテルで「死体」で見つかった梨田 自殺とされたが 他殺ではないのか… 謎の男、梨田の過去を知ることが出来なければ 自殺か他…

いい先生だね

「教場2」(28/144) シリーズ第二弾 警察学校 教官、風間と生徒の6つの物語 創傷医師から警察官に転職した異色の生徒が 自分の不祥事の意味を知る 心眼校内の備品の盗難 全く意味が分からない 動機は? 警察官も人間なのです 罰則津木田は、プールでの救助訓…

現実と幻想は対立するものではなく

「悲嘆の門 上」(25/144) 「悲嘆の門 中」(26/144) 「悲嘆の門 下」(27/144) リアルな世界から いつの間にか、モンスター…? これ、宮部にしか書けない世界です 普通ならば これは「卑怯」とかいう話になるでしょう でも、本作品は違います この世の中は「物…

…絶叫したくなる時、ありますか?

「絶叫」(24/144) でもね 絶叫している暇があるならば そこから逃げ出す方法を 冷静に考えるべきなんですよね 絶叫したら、終わりなんです そう、ゲームオーバー 以下、ネタバレ 逃げ切ったのか これ、嬉しいかも 犯罪者に肩入れしてしまいます このタイトル…

因習とアート

「カラヴィンカ」(23/144) 昔ながらの村 藤家と斧家 天才アーティスト、実菓子は没落した斧家の娘 この娘、ヤバイ 主人公の藤家の多聞の 父の愛人の娘であり その父と結婚をし 父の死後、兄と結婚をしたのです で、兄も死んでいます てか藤屋もヤバイです こ…

色男過ぎるだろ、影山

「ブルース」(22/144) この物語をどう解釈するか 簡単に言えば 六本指に生まれた男、影山のサクセスストーリー どん底の町の「下の方」に生まれた 母は、当然の如く、身体を売って生きている 少年は、特殊な指を活用したのだろうか 卓越した性戯サービス提供…

日本最大のミステリのミステリ

「女王 上」(20/144) 「女王 下」(21/144) 邪馬台国はどこ? そのミステリにミステリを被せるという力技 それも定番、記憶喪失からのスタート 主人公、史郎 なぜか東京大空襲にあった記憶がある 年齢的にはありえないのに さらに、祖父の死の謎を探るうちに …

トリッキー過ぎるぜよ…ハードル高し

「からくりがたり」(19/144) 自殺した兄の「妄想」日記の謎を解くために 妹が動き出す という流れで事件が明らかになっていくのかな~ と思いきや なんでしょう、これ エロチック・ミステリアス・ホラー? 様々な事件の謎は 完璧には解けないまま物語は進ん…

痛い女、好きですよ

「ウォーク・イン・クローゼット」(18/144) 2作品収録 「いなか、の、すとーかー」 ストーカー候補者は近くにいる それがストーカーに育っていくのか それともカワイイ奴に成長していくのかは 自分の問題なのかもしれない だから、怖い で、表題作「ウォーク…

来年、必ず登るぞ!

「通天閣」(17/144) 人生を半ば捨てたオジサンの話と 意外と軽く男に捨てられた女の話が 交互に進む 二人とも、まあ、運が悪いというか 適当に頑張ってる姿が切ない その二人の周りに様々な登場人物が登場する 僕のお気に入りはママ 話していることばの8割が…

途中の物語の切り裂き方が凄い

「月光のスティグマ」(16/144) 阪神大震災を機に 物語をここまで一気に切り替える潔さ 読者が逆に どうやって収束させるのか心配になるほど さらにさらに 最後に中東のテロまで… いや、これ無理でしょ、と思うかもしれませんが 実は、全て、つながっているの…

桜庭の直球ヴァンパイア

「ほんとうの花を見せにきた」(15/144) はい ストレートな ヴァンパイアストーリーです 年を取りませんし 太陽はもちろんダメです 人間をヴァンパイア化することもOKです で、桜庭が繰り出すヴァンパイア物語のコアは 人間を育てるヴァンパイア ヴァンパイア…

ここまでどんでん返しが続くとはね

「ゴースト・スナイパー 上」(13/144) 「ゴースト・スナイパー 下」(14/144) ひたすらミスリード このシリーズですから いかにも「犯人」らしく書かれている人が 次々と犯人ではない(もしくは雑魚の犯罪者にすぎない)ことが明かされ また新しい「犯人」が…

名探偵は労働基準監督署の男

「カード・ウォッチャー」(12/144) 現実と交錯する殺人事件 まさか 名探偵役が労働基準監督署員とは・・・ 「サービス残業」から事件は始まる 主人公はサラリーマン 会社のサービス残業や労災を隠すために その流れで「殺人事件」の隠ぺいに一歩を踏み出す …

ミナミで飲まなきゃ

「地下の鳩」(11/144) 西の書く大阪を読むと 無茶苦茶、大阪に思いは飛んでいくのですが 実は あまり 大阪に行きたくなくなります 大阪が嫌いになるわけではありません 行っても この文字から出てくる温度を 感じることが出来なくて失望するのが怖いからです…

阿部作品、読まなくちゃだよね

「キャプテンサンダーボルト 上」(9/144) 「キャプテンサンダーボルト 下」(10/144) 世界を救っちゃったよ この二人 本当に申し訳ないのですが 阿部作品、一作品しか読んだことがないのです それに対して、伊坂作品は 多分、文庫化されたものは全て読んでい…

悪女年代記

「永遠に残るは 上 ―クリフトン年代記 第7部―」(7/144) 「永遠に残るは 下 ―クリフトン年代記 第7部―」(8/144) ついに終わってしまいました この結末、やっぱアーチャーでした あっけない、実にあっさりとした終焉 並みの作家じゃ許されない幕引きだと思いま…

圧倒的に面白いって、こういうこと

「罪責の神々 リンカーン弁護士 上」(5/144) 「罪責の神々 リンカーン弁護士 下」(6/144) 殺人の罪で逮捕された男 その被害者は ハラーにとって「大事」な人だった その男の無実を証明するために ハラーは動き出す その中で、昔の事件との関連が浮かび上がっ…

ラブドールを愛せるのか

「それを愛とは呼ばず」(4/144) 確かに衝撃の結末です このタイトルの行く先を想像しながら読み進めて まさか。。。 解説を引用しますが妻を失った上に会社を追われ、故郷を離れた五十四歳の亮介 十年所属した芸能事務所をクビになった二十九歳の紗希 ま、色…

最初からネタバレしちゃっていいですか?

「ペガサスの解は虚栄か?」(4/144) はい、ネタバレです、すみません Wシリーズ第7弾です いや、昨日、ブレードランナー2049を見たばかりなんで 興奮しての、ネタバレです 人間の「役割」って 最終的には生殖なんですね 人間というか「生き物」って話ですが…

二つのタイムトリップ

「太宰治の辞書」(3/144) 奇しくも古典つながり 読書の偶然って面白いです 一つ目のタイムトリップ 主人公がいつのまにか結婚、出産ですか! あの学生が… ネット上の感想では否定的な意見も多いですが あの「スキップ」を書いた北村ならばこその 潔く、非常…

麗しき古典

「銀の匙」(2/144) 古典、めったに読みませんが 本の神様の導きのままに 1921年作品にたどりつきました 自伝的作品のようです ある少年の日々が書かれているだけですが 日記ではないんです ちょっとした風景や情景の描写だったり 登場人物に微かな心の歪みが…

ちよ、So Cute!

「押入れのちよ」(1/144) さて、新期一発目 ホラー短編集 九つの悲しく、切なく、怖く、笑える物語 表題作「押入れのちよ」のちよは幽霊です 子供です カルピスも飲んじゃいます ビーヒジャーキーが好きです でも、幽霊になるからには、哀しい過去が… こんな…

ゆらゆら読書

「サラバ 上」(160/144) 「サラバ 中」(161/144) 「サラバ 下」(162/144) 直木賞だ この作品じゃなくても良かったと思うけど、西 こんなに長い西ワールドを ゆらゆら出来たのは幸せだなあ この分厚さ 直木賞じゃなければ躊躇していたかもしれない 一気読みと…

これ、一見、軽そうだけど…ヘヴィーだぜ

「冷蔵庫を抱きしめて」(159/144) 8つの短編 基本、男と女の物語 『ヒット・アンド・アウェイ』 DVは本当に嫌だ こういう「暴力」は認める てか、暴力じゃなくて「力」だね 力は必要です 『冷蔵庫を抱きしめて』 味の好みの差異…これは厳しいね 『アナザー…

MAX明るい辻村深月!

「ハケンアニメ!」(158/144) 本当に最初 ハケン=派遣 だと思って読み始めましたが まさか、ハケン=覇権 だったとは… で、辻村、やっぱ、いいね それに尽きる アニメ業界小説です でも「アニメ」って単語に拒否反応を示す人もいるかもしれない 言い直せば…

殺伐とした不思議

「夜また夜の深い夜」(157/144) 不思議な物語でした 海外を転々とする母と娘 娘に国籍はない 母の本当の名前も知らない そんな娘が ナポリで母から逃げて 犯罪に手を染めながら 行き伸びていく そして 最後に母と自分の真実を知る 小説は その娘が 難民キャ…

ミステリの新しい楽しみ方

「螺旋の手術室」(156/144) 知念、初読です 帯の強烈なプッシュにおされ購入 ガチ、医者じゃないと書けない内容 ミステリのネタも 医療を知り尽くした人でなくては書けないでしょう でも、作品の舞台が、ガチ医療で 登場人物も、医師ばかりなので成立します…

部屋で、二人で、会話するだけなのに

「木漏れ日に泳ぐ魚」(155/144) 訳ありの兄妹が 明日に引越しをひかえた特別な夜に お互い、相手が殺人犯だという思いを抱いて 静かに「部屋飲み」をスタートさせる 作品は兄と妹の立場から 交互に語られていく 小さい頃、離れ離れになって 偶然、再会して …