趣味は「読書」ですから

毎日、本が読めて、美味しいお酒が飲めて、走って、そして楽しい仕事が出来る。それが一番。何事もなく、今日も読書が出来ることに、本当に感謝です。

いつから「老い」は「害」になったのか

「夢は枯れ野をかけめぐる」(90/144)
  
 
最初に言っておきますが、
本作品は「老害」問題について語っているわけではありません。
でも、どうしても、意識せざる得ない、、、
から、敢えて、こういうタイトルにしてみました。
ご了承ください。

48歳、「リストラ」で無職となった男、羽村祐太。
でも、真っ当な諸事情により、お金は適当にある。
心のゆとりもある。
それらに付随して信用もついてくる。
そんな彼の周囲で起きる「家族」「家庭」の小さな問題。
連作短編6作品で構成される本作品。
自分の家庭問題。
前の家の家庭問題。
同級生の家庭問題。
この三本軸が地域社会の問題とリンクして展開する。
  
実に爽やかな「恋愛小説」をそっと沁み込ませる、
西澤保彦の技。
日常のさりげない「ミステリ」を散りばめる、
西澤保彦の腕。

巧い。
うん、巧い。
 
で、全体的に、決して、悲惨な話ではありません。
でも、とっても悲しく辛い物語なのです。
それの原因の一つが「老い」であり「認知症」であります。
 
ですが、どれも老が主因ではないのです。
ある老が「引鉄」を引くのです。
そこから発砲を止められるかどうか。
そこに老は関係ありません。
 
老を「害」にしてしまえば、それで諦められるでしょう。
でも、それで良いのか?
これからの高齢化社会
そんな安易な「穴のまくり方」を続けていれば社会は崩壊します。 
老は害と決めつける前に、
ちょっと考える余裕、持たないとヤバイっしょ。
これは、老陣営、若陣営、そして中年陣営、
全てが同じラインにたって考えるべき問題なのでは。
   
 
※「もう一つの趣味は「ランニング」ですから

夢は枯れ野をかけめぐる (中公文庫)

夢は枯れ野をかけめぐる (中公文庫)

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