自由の8×8
「猫を抱いて像と泳ぐ」(135/144)
実は、初、小川洋子。
何となく、ベタな恋愛小説の作家だと今まで勘違いしていました。
申し訳ありませんでした。
思い込みっていうのは、本当に良くないね。
以後、注意します。
読書に於いても、人生に於いても・・・
で、チェスの話し。
チェスにまつわる一人の少年の物語。
ただ、ひたすらチェスをしているだけ。
しかし、それだけで、彼は人生を駆け巡る。
そもそもの設定がアブノーマル。
彼はチェスの盤面の下に潜って(=隠れて)しかチェスをプレイしない。
更に、様々な事情から
11歳で成長を止めている・・・
これだけ読んでも、何の事だかわからないと思いますが、
このアブノーマルな状態が、
いつしか、普通で穏やかで、更に美しく素晴らしいことになってくる。
この小説の力強さは、並大抵じゃありません。
彼と共に、読者はどこまでも行けるのです。
巻末の山崎努の解説が秀逸なので引用します
〜本当の自由は仕方ない事情の内にあるのだから。〜
そう、この作品で、自由になってください。
自由は、手に入れるものではありません。
自由は、あるものなのです。
そう、そこにあるのです。
自由の読書、ここにあり。
※「もう一つの趣味は「ランニング」ですから」
- 作者: 小川洋子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2009/01/09
- メディア: 単行本
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