静かなる道のりを
「ハンニバル・ライジング」(下)(100/122)
人が狂気を帯びて行く過程は、
当人にとっては、
別にドラマチックでも、サディスティックでもなく、
ごく当たり前の成長でしかないのかもしれません。
ハンニバル少年は、青年に成長して行くなかで、
知識や教養を蓄積し、
人としての魅力を高めて行くのと同時に、
後の残虐性の基礎となる「狂気」を、
具体的行動を重ねることにより、静かに熟成させていく。
ごくごく自然に、感情の起伏もなく。
過去を克服して、人は大人になっていく。
悲しみの清算の仕方を、少し間違えただけで、
誰でも、ハンニバル・レクターになれるかもしれない。
そう、誰でも狂気の種を持っている。
さすが、トマス・ハリス。
小説が好きな人ならば、
読んでおかなくてはならない作品の一つでしょう。
※はてな年間100冊読書クラブ(2005-2006.128/108)
- 作者: トマスハリス,高見浩
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2007/03/28
- メディア: 文庫
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