設定の妙。
「冬芽の人」(85/144)
こんな大沢、ありですね
微妙な女の恋心を
女性の立場から書くなんて
なかなかです
で、一応、警察小説ですが
ちょっと設定がイケてます
主人公、牧しずりは女性
元刑事
30代半ば
今は地味な会社員として事務作業に勤しんでいる
なぜ刑事をやめたのか?
ある事件で「容疑者」宅に行った際に
トラブルが発生して
それが元で、相棒だった先輩刑事が瀕死の重傷を負う
実はその先輩からは交際を求められていた
本人は固く拒否していたものの
「不倫」疑惑が何となく拡がっていく中
居場所を失い
先輩が息を死亡したのを機に辞めた
自分をかばって先輩が死んだ
そんな「罪」の意識を引きずりながら
隠れるように生きている牧だったが
あることを契機に
先輩が死んだ原因となった事件の真相を改めて探り出す
上手いね~
この流れ
その中に登場するのが死んだ先輩刑事の息子
年齢は一回り以上離れているが
好きになってしまう…
この「好きになってしまう」というのが効いている
実に良い
ここで、牧が好意をいだくことなく
あくまでも先輩の息子という立場で
協力と言うか、母性と言うか、共感というか
そういう感情で付き合っていたら
この作品は
非常に陳腐な警察小説になっていたことだろう
この「禁じられた」恋の行方と
事件の真相が同時進行していく様は
さすが、大沢っ!!
実にエンタテイメントしていますよ
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