趣味は「読書」ですから

毎日、本が読めて、美味しいお酒が飲めて、走って、そして楽しい仕事が出来る。それが一番。何事もなく、今日も読書が出来ることに、本当に感謝です。

2011-01-01から1年間の記事一覧

picaresque

「ミノタウロス」(153/144) ピカレスクロマン。 あらためて意味を確認してみる。 picaresqueとは「悪漢」(が主人公)の〜、とことらしい。 悪漢が、悪いやつらが活動、活躍する小説。 それがピカレスクロマン。 16世紀、スペインにおこった小説の一形式との…

小学生の尊厳

「ロードムービー」(152/144) 辻村深月。 本当に面白い。絶対に面白い。圧倒的に面白い。 簡単に泣かせてくれないところが良い。 現実社会で、 本当に泣けることなんて滅多にない。 子供も そう簡単には泣かない。 もしかしたら 大人以上に泣かないかもしれ…

これだけの材料を華麗に粗暴に優しく・・・

「黒の狩人・上」(150/144) 「黒の狩人・下」(151/144) 歌舞伎町 暴力団 中国マフィア 外務省 「麻布」 ハム 中華民国 殺し屋 不法入国者 そして刑事。 古参でやり手で無謀で賢い、そして心に傷を持つ、冴えないオヤジ刑事。 これだけ揃えば、 大沢の独壇場…

意味がわからない恐怖

「指し手の顔・上」(148/144) 「指し手の顔・下」(149/144) あの「脳男」の続き。 あれから一年後。 本作品、極上のエンタメ作品でありつつ、 さらに精神科医療という問題にもシリアスに言及している。 俗に言う「精神病」という病気と それを患う患者さんと…

歌舞伎町を返してくれ!

「9・11倶楽部」(147/144) あの都知事、 けっこう好きなんだけど、 夜の仕事を締めつけたところだけは許せない。 夜には夜のルールがある。 そこに昼のルールを適用したところで意味はない。 より巧妙に騙す夜サイドと、 安全になったと思って騙される昼…

「ゴッドファーザー」の法則

「竜の道・上」(145/144) 「竜の道・下」(146/144) まだまだ序の口。 これから始まる矢端兄弟の物語。 兄が裏。 弟が表。 昭和、バブル前夜。 捨子の二人。 地獄の子供時代。 唯一の光であり希望、美佐。 兄は人を「殺す」ことで、 二つの意味で生まれ変わる…

軽い、というテクニック

「被害者は誰?」(144/144) 貫井が真剣に「ライト」なもの書くと、 こうなります。 連作集。 名探偵作家とドジな後輩刑事とのコミカル・ミステリ。 表題作は「被害者」をあてるミステリ。 その後も「目撃者」「探偵」をあてる作品が続きます。 犯人をあてる…

疲労困憊すぎだぜ

「背後の足音・上」(142/144) 「背後の足音・下」(143/144) スウェーデンの警察ミステリ。 ヴァランダー・シリーズ7作目。 重厚な物語。 底に流れる、 ヴァランダーの疲労。 警察官たちの疲労。 人々の疲労。 スウェーデンの疲労。 社会の疲労。 世界の疲労…

IKB35・MKT35

「ドラゴン・ティアーズ-龍涙」(141/144) マコト、9作目。 あれから、何年? 池袋、変わったよね・・・ ・エステ詐欺 ・ホームレス ・闇金 ・中華人民共和国 お金という価値を持っていないことを「貧乏」といいます。 幸せはお金では買えませんが、 残念なが…

芝居、脚本、舞台、演出、女優、無限、、

「チョコレートコスモス」(140/144) 年間40本近くの舞台を見る僕にとって、 この作品は、 圧倒的な嘘であると同時に、 無限の夢であり、 読み終わったとき、 体の芯から震えてしまいました。 簡単に言えば、 舞台のオーディションの話。 様々な女優が、 とあ…

後味、悪いぜよ

「敗者の嘘」(139/144) 堂場、やるな。 この幕切れ、さすが。 ここまで引っ張っての、、、 元素人役者で子持ちの超イケメン臨時刑事・大友シリーズ第二弾。 今回の「敵」は若手弁護士・篠崎優。 容疑者自殺、 そして真犯人を名乗り出頭してきた女性弁護士。 …

ダメはより強くなり

「ウツボカズラの夢」(138/144) 日常的にいる少しだけダメな人たち。 致命的なダメではなく、 何かのキッカケで悪い方に転げ落ちる要素を孕んだダメを持つ人たち。 そこに人間のドラマを見つける乃南アサの視線に、 毎回関心させられるわけで。 ちょっとダメ…

人の命と、自由という概念、どちらが大切なのでしょうか?

「図書館革命」(137/144) 最終巻。 図書館サーガ、ここに終わる。 表現の自由という問題に、 ここまで真摯に、そしてユーモラスに書いてくれた、 有川浩という作家に感謝。 とても感謝。圧倒的に感謝。 文字を書く人がいて、 文字を読む人がいる。 同様に、 …

動きだすために

「図書館危機」(136/144) 図書館シリーズ。 全部4作中の3作目。 遂に王子様の正体が!? そして、 最終決戦に向けて全てが動き始める。 表現の自由、って難しい。 同じく、 表現の規制、も難しい。 何でも表現して良い世界、は絶対に間違っていると思う。 自…

自由の8×8

「猫を抱いて像と泳ぐ」(135/144) 実は、初、小川洋子。 何となく、ベタな恋愛小説の作家だと今まで勘違いしていました。 申し訳ありませんでした。 思い込みっていうのは、本当に良くないね。 以後、注意します。 読書に於いても、人生に於いても・・・ で…

やっぱ、凄い、や、圧倒、的

「カラスの親指」(134/144) 全てが先回りして展開していく、 道尾ならではの非常に手の凝った物語。 主人公が時折感じる不自然な感覚は、 何時しか読者に伝染していく。 この感覚は道尾の仕掛け? それとも?? 闇金に母や子供や妻を「殺された」人たちが、 …

読みながら、物語、膨らむ

「風をつかまえて」(133/144) 風車の物語。 町工場の物語。 財政破綻間近の地方の町の物語。 友情の物語。 恋の物語。 父と息子の物語。 家族の物語。 教師と生徒の物語。 学びの物語。 そして、 階級対立の物語。 文庫300頁にこれだけの物語が詰め込まれて…

究極の構成美

「わたしを離さないで」(132/144) ついに読みました。 カズオ・イシグロ。 映画にもなったこの作品。 そこはかとない「恐怖」を本当に薄く、薄く、薄く、薄く敷き詰めながら、 決して読者にアピールすることなく、 物語は進む。 本作品「大ネタ」ものです。 …

これぞ、僕のど真ん中

「ジョーカー・ゲーム」(131/144) そもそも、 僕が小説にハマった契機の一つは、 スパイ小説でした。いわゆる「エスピオナージ」モノ。 今でもCIAに憧れていますし、 内調とか中途採用があるものならば。。。 妄想はさておき、 キターーー! スパイど真ん中…

すき間の緊張感

「ピース」(130/144) 秩父で発生したバラバラ殺人事件。 主要人物が集うスナック。 事件を追う警察。 様々な人間模様が、 断片的、同時多発的に展開してるのに、 何かしらのまとまりが読者の前に見えてくる。 なんだろう。 この感覚。 本作品、作品中で明ら…

幽霊に、こんにちは

「チヨ子」(129/144) 短編集。 表題作「チヨ子」、秀逸。 着ぐるみに入ったこと、ありますか? 僕は一回だけあります。 あの時の気持ち、 ワンダーです。 幽霊が見える感じがします。 本作品、正確には幽霊じゃないかもしれませんが、 何か、幽霊らしき感覚…

クリエイタの狂気

「犯罪小説家」(128/144) 作家、脚本家、ルポライター。 皆の狂気が この「大団円」をもたらす。 モノを作る人たちは、 やっぱり、普通じゃない。 普通じゃない人が作るからこそ 心躍り、胸ときめく作品が生まれるのだから。 それにしても、 最後の最後まで…

平凡、という奇跡

「神様のカルテ」(127/144) すごく平凡な小説です。 その平凡さを「奇蹟」とか言ってほしくないです。 ま、マーケティング上、何かしら必要なのは分かりますが、 これは読書初心者を惑わせるのでは? で、夏川、巧い。 主人公・イチのキャラクター特性を夏目…

少年少女の罪

「空白の叫び・下」(126/144) 凄い作品でした。 素晴らしい作品でした。 14歳で人を殺した3人の物語。 文庫1,300ページの長編。 社会から追い詰められて、 精神的な逃げ場を求めて、 少年たちは何をする。 仲間同士の負の駆け引きを織り込みつつ 銀行強盗を…

生きる方法

「空白の叫び・中」(125/144) 貫井徳郎、長編。 中巻は、 前半は少年院での過酷なサバイバル。 14歳で生きるための最もシンプルなシステムを学ぶ。 強くなるか、 耐えるか。。。 その中のキーワード。 植物、のように生きる。 突き刺さります。 賢さ、孤独さ…

人を殺したいと思う気持ちが分かったかもしれない

「空白の叫び・上」(124/144) 貫井徳郎、長編。 文庫は上・中・下で、 それぞれが軽くまとまっています。 上巻は、 14歳の少年3人が、 人を殺すまでの物語。 エリート、はぐれ者、複雑な家庭。 14歳まで成長してくる中で、 ある「時」にたどり着いたときに、…

人を殺したいと思う気持ちが分かったかもしれない

「空白の叫び・上」(124/144) 貫井徳郎、長編。 文庫は上・中・下で、 それぞれが軽くまとまっています。 上巻は、 14歳の少年3人が、 人を殺すまでの物語。 エリート、はぐれ者、複雑な家庭。 14歳まで成長してくる中で、 ある「時」にたどり着いたときに、…

人を殺したいと思う気持ちが分かったかもしれない

「空白の叫び・上」(124/144) 貫井徳郎、長編。 文庫は上・中・下で、 それぞれが軽くまとまっています。 上巻は、 14歳の少年3人が、 人を殺すまでの物語。 エリート、はぐれ者、複雑な家庭。 14歳まで成長してくる中で、 ある「時」にたどり着いたときに、…

働く人には休日が必要なのさ

「巡査の休日」(123/144) 北海道警察シリーズ第四段。 いきなり強姦殺人犯が病院から脱走。 そして、時が経ち、 舞台の中心は「よさこい」で盛り上がる札幌へ。 小島、佐伯、津久井。 それぞれの「仕事」をこなしている中、 それぞれの事件が結実していく。 …

締まりのある会話なんて。。。

「イナイ×イナイ」(122/144) Xシリーズはここからです。 つい2作目から読んでしまったのですが、 まあ良しとしましょうか。 きた、密室。 やはり森博嗣は密室です。 それも「地下牢」です。鉄板! それに挑むのは森作品史上、最も普通の主人公達、小川と真鍋…