ケータイよ、この世から消えてしまえ!
「アクセス」(60/122)
ホラーサスペンス大賞受賞作ということだったので、
ちょっとエグい内容かと構えていましたが、
実にスマートで、ほどよいホラー感が秀逸。
やっぱ新潮文庫って感じ(笑)。
妖しきインターネットサイトに入会して、
他人に紹介した時点で、
ケータイの料金もインターネットの接続料金も無料になる。
タダより高いものはないわけで、
その代償は…、ここがホラー。
人工知能系の話に飛躍することも泣く、
スプラッター系での盛り上がりを煽るわけでもなく、
登場人物にグッとフォーカスしていくところが本作品のポイント。
特に男子一番手・翔矢のラストは素晴らしい。
過剰に追い詰めない、ある意味ライトな雰囲気が、
今の若い子達の気分を的確に表現していると思いました。
熱い思いはあるんだけど、その思いの表出の仕方が「若い」のであり、
その「若さ」を、よく「冷めてる」とか言い換えてしまうわけで。
うん、誉田哲也、Good Job!
ところで本作品の核にあるケータイだけど、
ケータイがなければ、
人の欲望の増殖はもっと抑えられていたような気がする。
必ずしも欲望は悪ではなく、
進歩・発展への入り口でもあるわけだけど、
本当にこのままでいいのかな。
どうしよう、ケータイを媒介として「欲望」にアクセスされちゃったら。
多分、いつも持ち歩いているものだけに、
アクセスされたことに気がつかないんだろうな。
怖い怖い。
※はてな年間100冊読書クラブ(2005-2006.128/108)
※妄想キャスティング
http://mixi.jp/view_community.pl?id=424676
- 作者: 誉田哲也
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