狂気を哀しいと言ってしまって、良いのか?
「グロテスク・下」(84/122)
上巻の悪意が更に加速する下巻。
主人公「わたし」含め、4人の女性の狂気が昇華していきます。
もう異常で、醜く、苦しい世界。
でもでも、読後感が、思ったより悪くない。
確かに屈折した酷い彼女達の生き様だけど、
それを哀しいオンナの一生とか、言えない感じ。
落ちていく過程は、狂気から狂喜へ。
というか、他人から見たら、完全に落ちているけど、
実は一歩一歩、何か向かって進んでる感じ。
落ちているんじゃなくて、落ちる方向に進んでる。
人生なんて、所詮グロテスクなんだよ。
そんな桐野夏生の耳元へのさりげない囁き。
これが本作品なのかなあ。
凄い作品に出逢ってしまいましたとさ。
※はてな年間100冊読書クラブ(2005-2006.128/108)
※妄想キャスティング
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