よくぞ、ここまで抑制してくれました
「殺人にうってつけの日」(21/122)
ブライアン・フリーマントルって、
本当に大人の作家ですよね。
本作品、基本線は仮釈放された男の復讐劇。
その男が、凄い悪人で、スパイで、裏切り者で、女にルーズで。
でも、凄く地味。
いくらでも、激しく大げさに派手に描けるのに、地味。
復讐される家族も、地味。
元スパイが絡んだりするんだから、
いくらでも、話大きく出来るんだけど、敢えて小さくまとめてる。
KGB、CIA、そしてFBIが登場するんだけど、
必要最小限、否、過少に描かれている。
で、地味なんだけど500頁超、飽きさせない。
大人の小説。
へたに、ドッカンドッカンやられると、
かえって興ざめになってしまう物語、良くあるじゃないですか。
本作品は、地味に静かに進みます。
結末も、ありきたり。
でも、心はとても揺さぶられている。
多分、抑制の美学に酔いしれているのかも。
ちなみに原題は「TIME TO KILL」。
で、この邦題、かなり秀逸だと思います。「殺人にうってつけの日」。
ちょっと感動。
※はてな年間100冊読書クラブ(2006-2007.133/122)(2005-2006.128/108)
- 作者: ブライアンフリーマントル,Brian Freemantle,二宮磬
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2007/10
- メディア: 文庫
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