あっ、みんな、若いよ!
「ブラックペアン1988・上」(68/122)
「ブラックペアン1988・下」(69/122)
桜宮サーガの原点。
あの田口が大学生ですから。
で、骨太の医療小説。
回を重ねるごとにエンタテインメント性が増してきた、
海堂作品でしたが、
本作品は「昔の話」(=1988年)ってこともあって、
実にシンプル、ってか単純。
あの頃、まだ昭和の頃の時代の雰囲気なのかな。
けっこう、みんな、真っ直ぐだったのかな。
懐かしいな。
東城大学総合外科。
佐伯教授の城。
そこの突如舞い降りた高階。
そこを背後から伺う怪しげな男、渡海。
食道癌手術という困難なオペを巡るかけひき。
そんな魑魅魍魎がうごめく世界に投げ込まれた、
国家試験、受かったばっかりの新人・世良。
実にスピーディーでスリリング。
手に汗にぎる展開が、
病院で、手術室で、そして桜宮で繰り広げられる。
そして、本作は問いかけます。
医者とは、何をする人であり、職業人なのか?
お医者さんとは、どういう存在なのか?
医学とは?
それと同時に紛れもなく存在する医療という「ビジネス」とは?
エンタテインメントの中に、
実に大切な問題が。
更にオペシーンの描写は流石。
見たことも聴いたこともないんだけど、
分かるんです、その情景が。
これは魔法ですね、海堂のしかける一級のマジック。
バチスタ読んだことがあるならば、
必読ですね。
※「もう一つの趣味は「ランニング」ですから」
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