物語はスタートがドラマチックじゃなくちゃね
「前巷説百物語」(34/144)
全てはココから始まったんですね。
読み終わった後の、なんとも言えぬ高揚感。
心がワクワク?フツフツ?ドキドキ?
うーん、なんて言葉にしたらよいのでしょうか。
江戸。
世の中の裏の世界、社会で生きる人たちの物語。
そんな陳腐な言葉じゃ、京極夏彦に失礼なのですが、
表に生きる人たちにも、
裏で処理したい問題はあるわけで、
でも、表からしてみれば、裏は「存在しない」ことになっていたりして。
裏は裏で、裏としての宿命を受け入れる。
そんな裏と表の隙間に、
義理人情の素晴らしいエピソードも生まれるが、
その反面、
とてつもない「巨悪」をも生み出す、、、
江戸の時代、
士農工商穢多非人。
その枠にも入らない人間。
そんな人間たちのドラマ。
ミステリアスであり、ドラマチックであり。
発表は、
巷説→続巷説→後巷説→前巷説
時の流れは、
前巷説→巷説→続巷説→後巷説
本作品は、「小股潜り」誕生秘話ってことなんです。
時間的に、後の三作品で大活躍する「又市」の前物語。
要するに、
スターウォーズで言うところの「エピソード1〜3」なんです。
6つの仕事の物語。
今回も様々な妖怪が登場します。
今までの中で、一番、妖怪らしい登場の仕方でしょうか。
特に、「周防大ガマ」はナイス妖怪!
これでこそ、江戸時代の「特攻野郎Aチーム」の面目躍如!
そして、ラスト二編で、
いわゆる「エピソード4〜6」への流れが、
読者の目前で怒涛の展開を。
あのキャラクター達が続々登場します。
最後の頁の
「御行奉為―」
もう、たまりません。
絶対読むべき作品の一つだと思います。
そして、発表順で読んでください。
時の流れに従って読むとわかりやすいのですが、
それじゃあ、
えええっ!
ああ〜。
はは〜ん。
なるほどね。
そんな、京極の仕掛け、十分に堪能出来ませんから。
それにしても、面白い。
ああ、面白い。
※「もう一つの趣味は「ランニング」ですから」
- 作者: 京極夏彦
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