京極堂、ここに
「姑獲鳥の夏」(63/144)
これが、京極夏彦のデビュー作なのか。
1994年なんですね。
素晴らしい。
やっと、やっと、読めました。
「この世には不思議なことなど何もないのだよ」
不思議だらけの世界を一閃切り裂く、この科白。
密室から人が消えるという失踪事件から始まり、
連続誘拐事件の謎に物語はあれよあれと言うままに、
ころころと転がっていく。
憑物ファミリーの謎。
産婦人科院での陰謀。
純愛から淫乱への転身。
ミステリアスな姉妹。
妊娠二十カ月という無謀。
戦後混乱期を
一癖も二癖もある登場人物たちが駆け抜けます。
京極堂の思考の波に徐々に浸っていく快感。
この静かなる引力。
ある意味「助手」の関口に自らを投影し読み進めるが、
なんと、その、関口にも。
その後の関口の「活躍」を他作品で先に読んでいるだけに、
ちょっとドキドキします。
それにしても、
この謎解きの美しさ。
これぞ、読書のカタルシス。
※「もう一つの趣味は「ランニング」ですから」
- 作者: 京極夏彦,笠井潔
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1998/09/14
- メディア: 文庫
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