長編小説のあるべき姿
「約束の地・上」(84/144)
「約束の地・下」(85/144)
内容、てんこ盛り。
様々な社会問題やテーマやメッセージが盛りだくさん。
ちょっと、詰め込み過ぎ…と思いきや、
これ、実にスマートに書き込まれている。
日本冒険小説協会賞と大藪春彦賞、ダブル受賞は納得。
やはり、物語の中心にいる「化け物イノシシ」(と敢えて書きますが)が効いている。
基本線は「人と自然の共生」なのかもしれないが、
その前にもっと大切なハードルがあることを教えてくれている。
それは「人と人との共生」。
そこがクリア出来ていないのに、
人と自然は調和しよう、環境を守れ、自然を保護しよう、なーんて無理なんだよ。
そんな愚かな人を見守っているのが自然なのに、逆だろ。
些細なことで対立しあっている人は、どこか引っこんでろ。
野生獣たちが教えてくれている。
山岳冒険小説としても読みどころ満載。
熊の出てくるシーンは実にスリリングで緊張感あふれる。
そして、いかに誤解していることが多いかも知らされる。
少女の成長ストーリーとしても秀逸。
映像化するならば、父じゃなく、娘視線でお願いしたい。
文庫800頁で、書きすぎることなく、
適度な温度感で迫ってくる、本当に小説らしい小説。
※「もう一つの趣味は「ランニング」ですから」
- 作者: 樋口明雄
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2011/11/10
- メディア: 文庫
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