ふわふわと本の中に入り込む
「いとま申して〜『童話』のひとびと」(142/144)
不思議な話です
北村薫の本当の父を題材とした作品とは知らぬ間に
読み始めました
というか
最後まで、そのつもりで読みました
だから、不思議だったのかもしれません
でも、それで正解だと思ってます
物語の構成は
作者である息子が父の遺した日記を読みながら
今の作者の立場で書いている部分と
当時の父の立場で書いている部分と
それらを客観的事実として受けとめて書いている部分が
按配良くミックスされています
その整頓されたカオスに
読者もいつの間にか没入している感覚
不思議で、心地よいです
大正後期から昭和前期
日本が「良かった」時代に
童話というジャンルにのめり込んだ人たちの物語
文化の香、最大限
人が人である価値を謳歌していた姿に
最大限の憧憬を抱きます
ファンタジーと事実の交錯を楽しむのではなく
圧倒的な事実から紡ぎだされるファンタジーを楽しむ作品なんですね
そもそものテーマが「童話」というところが
事実を罠にミスリードさせているのかも
でも、そのミスリードの中に歴史的事実が出てくるので
その事実さえも虚構に思えてくる
北村薫の奥の深さ、恐ろしや、あな恐ろしや
※「もう一つの趣味は「ランニング」ですから」
- 作者: 北村薫
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2013/08/06
- メディア: 文庫
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