趣味は「読書」ですから

毎日、本が読めて、美味しいお酒が飲めて、走って、そして楽しい仕事が出来る。それが一番。何事もなく、今日も読書が出来ることに、本当に感謝です。

平凡、という奇跡

神様のカルテ」(127/144) 
 
 
すごく平凡な小説です。
その平凡さを「奇蹟」とか言ってほしくないです。
ま、マーケティング上、何かしら必要なのは分かりますが、
これは読書初心者を惑わせるのでは?
 
で、夏川、巧い。
主人公・イチのキャラクター特性を夏目漱石に任せてしまうセンス。
このアイデアは白眉です。
 
そして、地方医療の問題を、
本当に深刻で大変なこの問題を、
特別な事件で語るのではなく、
ごくごく平凡な一老夫人の死に寄り添わせたバランス感覚。
夏川、巧い。
 
死という、誰にでも必ず訪れるという意味で「平凡」な、大事件を、
さりげなく書きあげる技。
多分、これは著者が本当の医師であり、
通常の職業の人とは比べ物にならないほど死に接しているから書けるのではないか?
死は、残念ながら、当たり前のことなのである。
それを、さり気無く突き付けられると、、、
心、撃ち抜かれる。
 
平凡な物語が、
ゆっくりと流れるところに、
この小説の醍醐味がある。
地方都市のそこそこ大きな平凡な病院。
そう、平凡。
偉大なる平凡。
そして、その流れを「濁す」男爵と学士様がご愛敬。
このサービス精神、夏川、巧い。
  
良い意味で「アンチ・バチスタ」なのかな。
海堂がいたから、夏川が書いたのでしょう。
もし、両作者がコラボして、
イチが桜宮に赴任したら、、、とかねwww

   
※「もう一つの趣味は「ランニング」ですから

神様のカルテ (小学館文庫)

神様のカルテ (小学館文庫)

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