趣味は「読書」ですから

毎日、本が読めて、美味しいお酒が飲めて、走って、そして楽しい仕事が出来る。それが一番。何事もなく、今日も読書が出来ることに、本当に感謝です。

見方とか、関わり方とか、捉え方とか

「聖域捜査」(43/144)
 
 
短編の連作集。
各話の終わり方が素晴らしい。
結末を迎えない、解決を明確に提示しないことによる、
物語の拡がり、登場人物たちの深まり、余韻。
  
最初は「え、これで終わり!?」的な感想だったけど、
実は、ここからが本当の始まりである。
その読者が当初抱えることになる、
ちょっと居心地の悪い、ザラっとした気持ちが、
主人公・結城が思い悩む、自分の警察官としての現状と、リンクしていく。
読者は、結城と同じ感覚を、いつのまにか共有していく。
 
警察といえども、
普通の会社と同じ。
従業員は自分の、自分の所属している部署の、そして「会社」の立場で、
仕事=事件と向き合っていく。
結城の所属は「生活安全特捜隊」という、
風俗から環境犯罪という「微妙」な案件に取り組むセクション。
彼らの事件との戦いは、静かにはじまる。。。
 
実に新しいタイプの警察小説。
ちょっとヤラれた!って感じ。
警察官だって、普通のサラリーマンと同じ思いで働いているし、
逆にサラリーマンの志も、決して警察官に負けていない。
 
事件が大円団でスッキリ終わるという爽快感はありませんが、
ふつふつと、勇気が湧いてくる一冊です。
著者、安東能明、初読かな?
要チェックだぜ。 
 
   
※「もう一つの趣味は「ランニング」ですから

聖域捜査 (集英社文庫)

聖域捜査 (集英社文庫)

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