趣味は「読書」ですから

毎日、本が読めて、美味しいお酒が飲めて、走って、そして楽しい仕事が出来る。それが一番。何事もなく、今日も読書が出来ることに、本当に感謝です。

2008-01-01から1年間の記事一覧

鳥の姿

「ダック・コール」(90/122) 不思議な物語です。 短編6作品。 鳥と男たちのふれあいがメインの物語。 や、メインって訳じゃないなあ。 人生のある一瞬。 刹那的に、鳥という存在とすれ違う。 そんな風景を見事に切り取っている。 解説にも書いてある通り「…

「仕事をすること」と「生きていくこと」

「虚構金融」(89/122) 金融スキャンダル。 政界、財界、そして官僚がそこには絡む。 自殺? 否、他殺? 動機は?理由は? そして、話は日米間の外交問題まで一気に拡大。 その先に見えてきた真実は。。。 バブルの責任は? 日本経済の舵を取るのは誰なのか…

枠を越えることの是非

「クレイジーへヴン」(88/122) 最初の20ページの、 疾走?失踪?失笑??感で、 この作品の狂気を実感できるんですが、 垣根涼介のテクニックにより、 この狂気は、優しさも悲しみも内包する感情に昇華する。 ただの狂気なんて、意味無し。 そんなの、陳腐…

冒険かあ。。。

「上と外・下」(87/122) いろんな意味での「冒険」、してますか? 本作の主人公、少年・練、少女・千華子。 二人は肉体的も、精神的にも冒険する。 そして克服する。 そう、冒険は乗り越えるもの。 過酷なマヤの儀式。 少年達は地下宮殿を所狭しと駆け巡り…

恩田陸の魔法

「上と外・上」(86/122) 兄14歳、妹12歳。 両親の離婚。 まあ、最近では珍しくないシチュエーション。 それが、いつもまにか、 クーデターが起こり、 ヘリコプターから落ち、 ジャングルでサバイバル活動。 地下神殿に突入。 そして、そして、二人の運命は…

Just American Crime Novel !!!

「デス・コレクターズ」(85/122) まさに、 北米の、 エンターテインメント、 且つ 人の本性を深く抉り出すような、 リアルなテーマを孕んだ、 非常に 良質な作品でした。 いやー、これは、本当に楽しめます。 あの「百番目の男」に続く本作。 サイコキラー…

見える、見えてくる

「雨の匂い」(84/122) 大久保が舞台で、 この質感、 様々な匂い、香りが、文章の裏から。 その匂いの向こう側に、様々な人間模様が見えてくる。 それぞれの問題を背負った人達が。 優しい人、切ない人、醜い人、情けない人。 で、本作品、非常に映像化に向…

カイシャの話

「震度0」(83/122) 横山秀夫、懇親の一作! 震えました、この重さ。 N県警(=カイシャ)で起きた課長失踪事件。 人の醜さが、ジワジワと浮かび上がる。 普通の会社ではないだけに、 より鮮明に浮かび上がる。 本部 警務部 警備部 刑事部 生活安全部 交通…

このトリックに、やられた

「モロッコ水晶の謎」(82/122) 3中編+1掌編。 どれも、見事な謎解きを披露してくれます。中編3つのテーマも ・誘拐・連続殺人・密室系 どれもミステリーの王道を突き進む作品です。中でも、やっぱり、タイトル作品は素晴らしかったです。 ※すいません、以…

まじ、泣けた。

「しゃぼん玉」(81/122) 他愛の無い話です。 でも、泣けたっす。 地下鉄の中でヤバくなって、 急いでページ、閉じたんですけど、間に合わず。。。 目は完全にウルウルでした。 家で読んでたら、嗚咽、間違いなし。 生きることの、 目的を失い、意味を忘れ、…

唯一、全人類にとって平等なこと

「窓際の死神」(80/122) それは、生まれた瞬間に死ぬことが決まってる事。 そう、生は、死とセットです。 でも、人にとって、死は怖い。怖すぎる。 そこで、緩衝材として「死神」っているのかも。 死神の存在を認めることが、 人間の究極の自己弁護なのかも…

本格ミステリー宣言

「8の殺人」(79/122) 綾辻。 歌野。 法月。 そして、我孫子か。 平成元年。 私は日本のミステリーに全く興味がなかった。 ひらすら翻訳のサスペンス、テクノスリラー。エスピオナージュ系を読んでいた。 あの頃に、島田荘司の宣言に触れていたら、 読書人生…

酒の飲み方

「ロング・グッドバイ」(78/122) LongじゃなくWrongです。 で、久しぶりに日本語のハードボイルド、読みました。 2000年、横須賀。 物語の発端は太平洋戦争、そしてベトナム戦争。 飲み屋での「素敵」な出会いから、 深く暗く重い事件に巻き込まれる刑事(…

223ページ目の輝き

「セリヌンティウスの舟」(77/122) 謎解きのクライマックスも終わり、 密室系のミステリーとして、 ちょっと変化球で楽しめたかな〜とか思いつつ、 何気なくたどりついた223ページ目(文庫です)。 や、感動した。震えた。 こんな素晴らしい結末を予測でき…

真っ直ぐなミステリー

「θは遊んでくれたよ」(76/122) やっぱり、森博嗣が好きです。 それもミステリーの森が。 スカイクロラシリーズも、 当然ながら、 ドキドキしながら頁をめくっていました。 でも、やっぱり、 不謹慎かもしれませんが、 人が殺される、もしくは死んでいく森…

1966年の「悪魔」

「悪魔はすぐそこに」(75/122) 素敵なタイトル、「Devil at Your Elbow」ですよ。 この意味、深いんだなあ。 そう、そこに、居るんです。 1966年、英国で発表されたミステリー。 連続殺人事件と、8年前のスキャンダルの関連性は? 大学という閉鎖的な社会の…

最後二頁に、痺れる

「イントゥルーダー」(74/122) な、なんだ、 このクールな結末は。 高嶋哲夫って、力あるな、やっぱり。 企業スパイもの?とか思わせつつ、 国策がらみ、原発をテーマにしたスケールの大きな展開。 その大きな枠組みの中で動く人物たちの、 描写は冷静、且…

やっぱり、生きていて欲しかった

「ラストソング」(73/122) あ、あの、映画だったんだ。 読み終わっての「あとがき」まで気がつきませんでした。 15年ほど前の作品。 舞台は20年以上前。 実はタイトル直球、音楽ど真ん中の物語。 実は、これ、 音楽業界についての記述が想像以上に正しい。 …

何がリアルなのか?

「アヴェンジャー・上」(71/122) 「アヴェンジャー・下」(72/122) フォーサイスの文章、 それに呼応する翻訳の篠原慎の日本語は非常に「味気ない」。 そこには、人の生きている感じが書き込まれていない。 空気じゃなくて、酸素のみって感じ。 そんな文字…

黒と白、どちらがお好き?

「黒笑小説」(70/122) 人の不幸は蜜の味。 ブラックな笑いは強いです。 東野圭吾の手によるブラック短編集。 前半は、とある作家の悲哀を皮肉たっぷりに描いた、 本格的(?)小説家短編小説が連続して登場。 作家先生と出版社編集者のやりとりをコミカルに…

法の力なんて

「最後の陪審員・下」(69/122) 解説の関口苑生氏の言う通り。 ジョン・グリシャムの集大成。 リーガル・サスペンスの枠を超えた作品。 法律という、人間が作った「不可思議」なシステムを通して、 人生、家族、社会、信仰を描き出す。 そこに、単純な対立構…

アメリカ合衆国の小説

「最後の陪審員・上」(68/122) ジョン・グリシャムのリーガルサスペンス。 若き主人公が小さな街の新聞社を買収。 お、今回はマスコミvs悪徳弁護士(or検事)?と思いきや、 そんな簡単な構図の訳がありません。 グリシャム、なめてはいけません。 作品名の…

純粋に謎解きを楽しめる一冊

「ウェディングドレス」(67/122) すいません、今回は、以下、ネタバレです。 ストレートに楽しめるミステリーです。 謎解きを楽しみながら、 じっくり、読んでみてください。 <以下、スペース空いて、ネタバレっす> で、これ、時間差叙述トリックだと思っ…

急加速する脳

「写楽・考」(66/122) 民俗学ミステリーシリーズの三つ目。 北森鴻の知的豪速球の斬れは相変わらず。 もう、きりきり舞い。 日常で起こる事件とシンクロして進行する、 民俗学のそのものの謎解き。 その謎解きの過程でさりげなく出てくる、 民俗学の知識を…

僅かの光と、終わりなき命と

「晩鐘・下」(65/122) 乃南アサの、文庫1,300頁。 腹に、ズズっと来ました。 かなり効きました。 久しぶりに味わう、この読後感。 人が背負わなければならない罪とは、どういうことなのでしょうか? 罪は、罰だけでは、許されないのでしょうか? この重い結…

、、、、ぅう、暗い、重い、切ない。

「晩鐘・上」(64/122) 乃南アサの 救われない小説。。。。。 この、春の爽やかな陽気の、この町にも、 所々に、悲しみ、憎しみ、哀れみが潜んでいる。 いや、 潜んでいるのではなく、 どちらかというと、それらの負の力の方が、本当は主流派なのかもしれな…

六つの死に際

「死神の精度」(63/122) 面白いねえ。 もう、唸るしかないねえ。 なぜミュージックなんだろう。。。そこだけで、 もう、ヤラれたっ!って感じ、伊坂幸太郎に。 六人の人間の死への一週間。 死神が、見届ける六つのストーリー。 冴えない女の子、やくざ、雪…

歴史とは、確定するのか?

「ルーズべルト暗殺計画・下」(62/122) いやー、 こう来るとは。デヴィッド・L・ロビンスは、 裏切りません。 この結末、満足。 そう、 派手なハリウッドっぽいエンディングは要りませんから。 ルーズベルトは1945年に死去します。 その謎は。。。この作品…

とてつもなく、地味です

「ルーズべルト暗殺計画・上」(61/122) タイトルだけ見ると、 ハリウッド映画的な、 ジェットコースター的なやつかなあ・・・と思い、 ま、読まなくても良いかも、と。 が、しかし、 あの「鼠たちの戦争」のデヴィッド・L・ロビンスじゃないか! これは読…

優しいウソ

「ガラス張りの誘拐」(60/122) 歌野晶午の初期の作品。 オーソドックな事件物ミステリー。 真実が晒されると、 その裏にある嘘の存在も明らかになる。 誰が嘘を? それは賢明な読者ならば、 多分、すぐに、分かってしまうでしょう。 誰の為に嘘を? この作…