趣味は「読書」ですから

毎日、本が読めて、美味しいお酒が飲めて、走って、そして楽しい仕事が出来る。それが一番。何事もなく、今日も読書が出来ることに、本当に感謝です。

2016-01-01から1年間の記事一覧

忍、忍、忍

「とっぴんぱらりの風太郎・上」(162/144) 「とっぴんぱらりの風太郎・下」(163/144) 万城目なので このタイトルから判断するに 現代に生きる忍者の末裔の話かと思いつつ頁を開く お、お城のシーン 映画の話なのかな… あれ あれれ 何かが違うぞ ま、まさか …

西澤保彦は実にヤバい

「聯愁殺」(161/144) うん こう来るんだ このだまし方は凄い え、それ卑怯じゃん! と最初は反射的に思うのです でも よくよく考えると 全く卑怯じゃなくて…脱帽 すみませんでした 物語の「表層」は 未だ犯人が逮捕されない 連続殺人事件の被害者だけど 偶然…

ここまで読んでほしいな

「転落の街・上」(159/144) 「転落の街・下」(160/144) ボッシュ・シリーズ またまた凄いです 過去の殺人事件の解決の小さな糸口が その糸口が 8歳の少年で 今は「性犯罪者」であることが判明 ですが そこから事件は全く想像できない方向に進みます もう一つ…

ソマリア、戦闘、命

「土漠の花」(158/144) これは戦争なのか? ただ 本能のままに動いているだけの サバイバルなのでは いや、違うな 本当にサバイブしたいならば無駄な戦闘はしないはず 舞台はソマリア 陸上自衛隊第一空挺団の精鋭が 先頭に巻き込まれる そこに法は存在しない…

中央区に住んで本当に良かった

「祈りの幕が下りる時」(157/144) 加賀シリーズ ある意味クライマックス そして、数々の橋 柳橋、浅草橋、左衛門橋 常盤橋、一石橋、西河岸橋、日本橋、江戸橋、鎧橋、茅場橋、湊橋、豊海橋 川、運河、水、これが東京 嬉しくなって 読み終わった次の日に 全…

京都じゃなくちゃ

「聖なる怠け者の冒険」(156/144) 森見ワールド炸裂 それに尽きます この爆風を受け止めるのか、流すのか それは読者の自由です 僕は、全身で受け止めました あ〜楽しい楽しい 京都の町に出没する「ぽんぽこ仮面」 根っからの怠け者の主人公・小和田君が ぽ…

悪い奴の描き方

「代償」(155/144) 小説には 様々な悪い奴が登場する その悪い奴のパワーが大きいほど そいつを倒した時の「悦び」は大きくなる ま、倒せないまま、生き延びていくという話もありますが やはり、王道は「悪は滅びる」である 本作品の悪い奴も かなり悪い奴で…

意見が分かれるね

「仮面同窓会」(154/144) ネタバレになっちゃうな これ、何を書いても 最初に提示される物語の構図は ・久しぶりの同窓会 ・ヤンチャ四人組が当時のムカついていた先生に仕返しを計画する ・仕返しをする(拉致して軽く暴力) ・次の日、その先生が殺されて…

骨太犯罪小説

「後妻業」(153/144) 映画の宣伝に引っ張られてました 後妻の業を描いている作品ではないのです 後妻業というビジネス(=犯罪)と それに対抗する司法サイドとの 骨太なバトルを描いた立派な犯罪小説なのです いや、大竹しのぶが出てくると 彼女がコアにな…

重い、を越えた何か。性欲とは、何か。

「しろいろの街の、その骨の体温の」(152/144) 祝、芥川賞 初読です 小学校、中学校の話は 本当に重い そこに 女性からの不気味=純粋な性欲が絡む本作品は 衝撃的… スクールカーストの中 息苦しい毎日 そこから逃げるための性欲とは少し違う 彼女的には 彼…

ああ、ミステリが好きだ

「黒いトランク」(151/144) 実は鮎川初読です ミステリファンとしては怠慢でした やはり、名作は名作ですね それにしても ミステリは 技術の進歩、主に通信手段と移動手段と情報収集手段によって 世界が拡がったかもしれないけれど その分、密度は薄くなった…

何度でも、同じ言葉を叫ぶよ

「憎悪のパレード〜池袋ウエストゲートパーク11」(150/144) ブクロ、サイコー 以上 ほんと、以上 これ以上、書くことないんだけど でも、出来るだけ多くの人に ブクロに行って欲しいから 少しだけ とりあえず第二期IWGPの幕開け 脱法ドラッグ パチンコ依存症…

あは…こう来るのか

「ドミノ倒し」(149/144) やっぱ、貫井はやってくれますね 一種の王道パターン ちょっと間抜けなハードボイルド風私立探偵が ちょくちょくミスを重ねながらも 最後は 全てが収まるべきところに収まって 大円団… な〜んてことにはならないんだ やっぱり 貫井…

初読ショック

「こちらあみ子」(148/144) 打たれた… 今村夏子、初読 心がズキズキ痛む いや、痛いとは少し違うか なんだろう 死ぬほどかゆい…? とにかく あまり体験したことのない気持ちに導いてくれる3つの短編 どれもショックです 特にタイトル作 あみ子、もう可哀想…

生命とは、人間とは

「風は青海を渡るか?」(147/144) シリーズ第三弾 徐々に具体的になってきました そして シキの活躍も目立って参りました もう、我々は何年間、シキのことを追い続けているのだろうか 本作品的には200年近いのかな? 読書的には「F」から20年間 結局、シキな…

理性より感情が先行する

「オービタル・クラウド 上」(145/144) 「オービタル・クラウド 下」(146/144) ハードSF 舞台は2020年の宇宙 全く新しいタイプのロケットが 兵器として 人類に襲いかかる そのロケットの理論とか ハードSFだから 実に丹念に書き込まれています がしかし 文系…

逃げる決断、戦う判断

「世界地図の下書き」(144/144) 本年度のノルマ達成は 実に「勇気」の出る一冊でした そして 朝井リョウに 今後、もっと期待したくなる作品でもありました 世相を切らない、時代を反映しない、あまりキャッチーではない作品 もっと 書いてほしいな〜 訳あっ…

妄想が真実と融合する瞬間

「はなとゆめ」(143/144) 壮大な妄想に飲み込まれました そこに 清少納言はいるのでした 見たこともない 会ったことも話したこともない人のことを あたかも 自分がその人であるかのように書く… 嘘です ただに嘘、空想、思い込みです が、しかし 途中から、そ…

日常な異常

「穴」(142/144) 凄い力 グイグイ引き摺り込まれた…この穴に で、芥川賞です 夫の転勤をきかっけに 夫の実家の向かい側の家に引越して 同時に専業主婦化した主人公 その女が体験する ひと夏の物語 話の構造だけを取り出すと まあ、よくある話なんですが この…

次の辻村深月

「島はぼくらと」(141/144) 進化というよりは 拡大?拡散? 辻村が 次に描いたのは 現実を懐でしっかり受け止めた先に開けてくる とてつもなく明るく前向きな世界でした 瀬戸内海 小さな島の男女四人 高校は島には無く 毎日、フェリーで通学しなくてはならな…

少女で地獄

「少女地獄」(140/144) 実は、夢野、初読 この時代の日本の「古典」作品は 実に苦手なジャンルなんです 読まず嫌い、かもしれませんね なんで なかなか、この文体についていけず 読了まで 時間がかかりました 1936年作品です 第二次世界大戦への突入前夜 そ…

シリーズものの功罪

「特捜部Q―知りすぎたマルコ―・上」(138/144) 「特捜部Q―知りすぎたマルコ―・下」(139/144) シリーズものの醍醐味の一つは 登場人物のバックグラウンドが徐々に明らかになっていく過程を ゆっくり楽しめることです 逆に そのバックグラウンドに気が向きすぎ…

女の友情、あるんですね

「本屋さんのダイアナ」(137/144) 僕はこの作品を 女の友情作品と勝手に解釈しました ご了承ください で 女の友情が 美しく成立する可能性を確信しました 確率はとてつもなく低いかもしれません でも 可能性はあるんだなと 8歳から22歳かな 読書が好きな二人…

陳腐な表現で申し訳ないですが胸が締め付けられました

「ゼツメツ少年」(134/144) いじめ、不登校、家庭問題 小学生、中学生 うん、切なく苦しい読書でした 物語の構成が少し複雑になっています 小説内の現実と小説内の小説と 小説内の小説の作家に対する熱烈なファンレターと その作家の「思い」が 絡み合って進…

格の違う読書

「約束の海」(133/144) 山崎豊子 未完の最期の長編作品… ずしり、来ました 最近の(ちょっとむかつく)CMで コミックを読んでいる人より 本を読んでいる人の方が偉いの? というメッセージのものがあるじゃないですか 確かに あの表現の中で出てくるビジネス…

少年少女よ、本を読め

「銃とチョコレート」(132/144) 乙一が 少年少女向けミステリを書くと こうなるとは全く予想できませんでした… これ 11歳くらいで読みたかったなぁ とある国 大泥棒と名探偵のバトルが 国民的関心事として日夜話題を呼んでいる ある時、主人公の少年リンツは…

読んだぜっ、海賊。

「村上海賊の娘・一」(128/144) 「村上海賊の娘・二」(129/144) 「村上海賊の娘・三」(130/144) 「村上海賊の娘・四」(131/144) 本屋大賞にしては 難しい作品ですよね、これ 歴史物、時代物に親しんで欲しいという マーケティング的な観点からの選抜だったの…

無性に文字を書きたくなってくる小説

「私のなかの彼女」(127/144) これ 刺さる人、多いと思います 角田、未読の人も 人の才能に興味がある人ならば 読んでください 主人公は正直冴えない女性 バブルの時期に 大学の仲間で なんとなく付き合い始めた男が 大学生のころから 何気にイラストレイタ…

サイコパス

「死神の浮力」(126/144) 伊坂作品としては 珍しく ストレートに悪を叩いているなと 思いました ま、らしくないですよね 何か背景があるのでしょうか 気になります サイコパスな男に 自分の娘を殺された夫婦の復讐劇 なんですが ま、そこに例の死神が絡むん…

翔ぶんだ、少女は

「翔ぶ少女」(125/144) 神戸の震災がテーマ 両親を失った兄弟の物語 主人公は少女 でも彼女、翔ぶんです そう、翔ぶんです 読書感想で いきなりファンタジーになって、ちょっと… という意見もありましたが そういう人は 勝手に「泣ける」小説とか読んでてく…